一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
69回大会(2017)
セッションID: 3E-02
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口頭発表 5月28日 児童
小学校での世代間交流プログラムと学習指導要領との関連性(2)
~戦後70年の歴史からの考察~
*佐々木 剛草野 篤子
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抄録

目的
  1992年に小学校生活科が施行されてから小学生と地域の高齢者との間の交流が活発になっている。その背景には、都市化と家族構成の変化があると指摘されてきた。本研究は、この高齢者と小学生の間の交流活動で、「里孫制度」と呼ばれる数少ない実践をしている東京都内A小学校を取り上げ、世代間交流プログラムの観点からその歴史的経緯と、地域と学校の関係構築の意義を追究してきた。今回、その「里孫制度」と教育における福祉概念について学習指導要領との関連性から再検討した。
方法 
  A小学校の活動資料の精査と活動に関与してきた関係者への聞き取り調査による。
結果・考察
   A小学校の「里孫制度」による高齢者との交流は、授業の根拠を家庭科及び特別活動に置き活動したと記録されていた。また、生活科設立により低学年では生活科、高学年は家庭科や総合的な学習の時間に位置づけていることが分かった。小学校の学習活動は学習指導要領により活動の方向性が求められるため、活動は家庭科以外の教科も読み替えにより、必要な授業時間を確保している。
  高齢者と小学生の交流は、高齢化社会に対応した福祉教育の実現のために重要な課題である。それ故、この学校が示す「里孫制度」による小学生と高齢者の交流活動は、「家族」を学ぶ教科としての家庭科の存在や、教科間の関連性・関係性を整理する上で、今後の学習指導要領の持つ方向性や教育者の福祉概念に一定の示唆を与える。

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