一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
70回大会
セッションID: 3Q-07
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口頭発表
保育者養成課程における科学教育の必要性
*金田 利子
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抄録

今日非認知能力の大切さが言われるようになっているが、一方で、科学的認識を育てることの必要性を強く思わされる。動物界の生命の循環過程などの認識がないと、植物を折っても動物を荒く扱って遊んでいても擬人的に「かわいそうに」という発想で終わっている保育の例に出合う。また、社会認識の点では、母親規範の問題点については乳児保育などで少しは触れる機会があるが、家族自体の認識などは、近代家族を当たり前と思い込んだままでいることもあり、歴史的に社会を見る目の欠如が危惧される。
 幼稚園教育要領や保育所保育指針が1989・90に変わったとき、6領域から5領域に改定された。それ自体は意味ある理由があることはわかるのであるが、同時に保育者養成課程から、自然と社会という科目が見られなくなった。必ずしも、自然が環境に、社会が人間関係にストレートに移行したわけではなく、総合的に見直されてのことであることもわかるが、養成課程にその科目がないことから養成課程の教員に自然科学や社会科学の専門家の入る余地がなくなってしまっている。大学や短大では一般教育として履修を勧めることは可能であるが、養成のみを目的とする専門学校には、その道の教員は不要になってしまう。
 ここでは、入学当初の学生の自然観、社会観の調査と、環境と人間関係の養成校のテキストの分析を通して、どの位自然と社会の認識が入ってきているのかの検討をもとに、テーマについての提言を行う。

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