一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
70回大会
セッションID: 2F-02
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口頭発表
伸縮性素材に着目した被服材料の変遷と背景
*安川 あけみ小澤 真帆
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キーワード: 伸縮性, 織物, 編物, 日常着, 体操着
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抄録

目的 我々は現在,Tシャツ,ポロシャツ等の編地(ニット素材)の衣服を多く着用している。布の伸縮性に焦点を絞り,戦後以降の日常着や子どもの体操着の変遷とその背景を調べ,伸縮性素材の需要拡大の要因を考察する。

方法 服装史,文化史等の文献,アルバム写真および各年代の人への質問により各時代の服装に関する情報を収集した。織物,綿ニット,ポリエステル(PET)ニットおよび綿/PET混紡ニットの計8種を試料布とし,引張試験機(島津オートグラフS形S-500-C形)を用いて,JIS L 1096に則った引張強度・引裂伸度測定を行った。さらに,定荷重法により残留ひずみ率を測定した。また,市販の2種の伸縮性織物パンツ(スラックス:PET60%/レーヨン34%/ポリウレタン6%およびスキニー:綿64%/PET34%/ポリウレタン2%)について,肉眼および顕微鏡で観察を行い,構造を調べた。

結果 約50年前までは体操着でさえ編地でなく織物が用いられていたが,動作のしやすさやカジュアルファッションの流行とともにニット素材が普及した。その後,綿ニットから合成繊維ニットへの移行により,残留ひずみの小さいニット生地が生産可能になり,人々の意識の変化もあり,広くニット素材の普及を生んだ。また,伸縮性の大きいポリウレタンを芯にしたスパイラルヤーンを用いることにより,型崩れしにくい織物の特長と高い伸縮性を併せもつ伸縮性織物素材が生まれたと考えられる。

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