一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
70回大会
セッションID: 2F-03
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口頭発表
ナイロン糸の収縮加工における繊維径及び貧溶媒種の影響
*花田 朋美佐久間 杏子
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抄録

目的 繊維の良溶媒と貧溶媒の混合溶液を用いて非晶領域の分子鎖配列を乱し布帛を収縮する加工法を混合溶媒法とし、既存の合成繊維に新たな付加価値を付与する方法の一つとして研究を進めている。本研究では、ナイロン糸を取り上げ、ナイロン繊維の良溶媒であるギ酸と貧溶媒である水、及びエタノールを用いて収縮実験を行い、貧溶媒の相違による収縮への影響を考察する。更に、糸の太さを変化させ、極細繊維、即ち機能性繊維布への応用の可能性を検討する。

方法 繊維径の異なるナイロン6の糸を50cmの長さに整え、中心部10cm間に糸印を施し、収縮実験用試料とした。所定のモル分率に混合したギ酸水溶液、ギ酸/エタノール混合溶液に浸漬し、30分経過後に取出して、糸印間の長さ変化を測定し収縮率を算出した。

結果 ギ酸水溶液、ギ酸/エタノール混合溶液ともに良溶媒モル分率の増大に伴い収縮率は大きくなり、収縮率は良溶媒モル分率依存性を示すことが明らかとなった。しかし、貧溶媒が水の場合に比べエタノールの方がより良溶媒モル分率が高い領域で収縮現象を生じる結果が得られ、収縮には良/貧溶媒混合溶液の分子容が影響するものと考察した。更に、同じモル分率では繊維径が細い方が収縮率は高くなる結果が得られ、分子配向性が影響していると示唆された。従って、配向性の高い極細繊維に代表される機能性繊維布への応用が可能であると考えられる。

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