【目的】近年需要が増加しているカット野菜は食品工場で洗浄・殺菌されている。昆虫や髪の毛などを除去する異物除去工程において、バブリング式や水流式の洗浄機が用いられているが、昆虫の製品への混入問題が後を絶たず、異物除去効果の向上が求められてきた。そこで本研究では、界面活性剤を主成分とする異物除去洗浄剤の昆虫に対する効果について検討を行った。
【方法】容量500mLのプラスチック容器に異物除去洗浄剤（ライオンハイジーン製野菜キレイNEXT）を適宜希釈（0.1～0.4％）した試験液を充填し、試験対象の昆虫（4種類）を浸漬させた。浸漬終了後に容器から取り出し、昆虫の動きを観察して不動化率を測定した。
【結果・考察】モモアカアブラムシ、ナメクジ、チャバネゴキブリ、クロゴキブリの4種類に対して試験を行った結果、すべての種類の昆虫で、洗浄剤の濃度が高くなるほど、不動化率が高くなる結果が得られた。ゴキブリ類は短い時間で不動化する傾向が見られたのに対し、モモアカアブラムシとナメクジは長時間の浸漬でもゴキブリ類に比べて不動化率が低い結果となった。ナメクジの場合、個体表面に多糖類の皮膜が存在するため、洗浄剤の効果が他の昆虫と比較して低くなったと推定された。
