目的 女性では閉経後にエストロゲン欠乏によるエネルギ-代謝異常が起こりやすく、ライフスタイルの適正化をはかる必要がある。そこで、本研究では閉経モデルラットを用いて、骨格筋の糖取り込み機構において重要なAkt substrate of 160 kDa (AS160)におけるエストロゲン補充の影響について検討すると共に、摂食制限の効果についても検討を加えた。
方法 成熟雌性ラットを卵巣摘出後偽薬補充(Pla)群、卵巣摘出後エストロゲン補充(E2)群に分けた。さらに、Pla群をControl群、Pair feeding群に分けた。Pair feeding群はペレット補充後(13週齢)から、E2群の前日の平均摂食量を与え、摂食制限を行った。17週齢にて安楽死させ、腓腹筋を摘出し、AMPK、AS160、及びそれらのリン酸化タンパク質発現量を測定した。またAS160についてはmRNAの測定も行った。
結果 E2群では、Pla群に比べ腓腹筋におけるAS160タンパク質発現量及びリン酸化AS160の増加、腓腹筋のリン酸化AMPKαの増加傾向が見られたが、Pair feeding群ではE2群と同程度であった。AS160 mRNAについても同様の結果が見られた。以上より、卵巣摘出ラットに対するエストロゲン補充及び摂食制限は腓腹筋のAMPKα活性化とAS160発現と活性化を増加させて、糖代謝を促進することが示唆された。