目的 防災教育において重要なこととして、災害の危険性に注目するだけではなく、自然の恩恵を享受しながら、自分が住む地域に愛着や誇りを持ち、災害時には主体的に行動できることが挙げられる。群馬県板倉町には水塚や揚舟をはじめとする大水に対応してきた生活文化が残り、関東で初めて国の重要文化的景観に選定されている。本研究では、防災教育において地域の特徴を紹介するかるたトランプの活用が、洪水経験に関わる生活文化の理解にどのような効果と課題が見られたかを検証することを目的とする。
方法 小学生、大学生、地元のボランティアが参加する郷土かるたトランプを使った防災ワークショップを実施した。トランプ遊びやかるたを行いカードに親しんでもらいつつ、地元ボランティアが災害経験を共有できる活動を組み込みんだ。小学生を対象にワークショップの前後に実施したアンケートをもとに分析を行った。
結果 板倉町では洪水に備えて各家で揚舟を用意し、水塚を建設しており、それらが町内に多く残っている。しかし、事前アンケートでは揚舟や水塚、それらに関わる地元の言い伝えなどの理解度は低かった。事後アンケートでは、変化が少ない項目も一部見られ課題も明らかとなったが、ほとんどの項目で理解度が向上した。さらに、ワークショップを通して、自分の住む地域へ関心を向けることについても一定の効果が見られた。