2014 年 38 巻 2 号 p. 599-602
鏡視下腱板修復術(ARCR)後の腱板再断裂が外転筋力や棘上筋萎縮に影響を与えるか検討した.腱板断裂52例を対象とし,術後再断裂群14例と修復群38例に分けて臨床成績判定にはJOA scoreを用いた.外転筋力は健患比で,棘上筋萎縮は棘上筋窩に占める棘上筋筋腹萎縮部の割合として評価した.術後のJOA scoreは両群とも回復したが断裂群の方が有意に低値であった.外転筋力健患比は両群とも改善していたが再断裂群での改善は不良であった.棘上筋萎縮率は再断裂群では術後上昇し,修復群では低下していた.再断裂群では棘上筋の筋萎縮は進行し外転筋力も低い結果となったが,修復群では棘上筋の筋萎縮と外転筋力は経時的にも改善しており,再断裂を生じさせない術式選択が重要と思われた.ARCRにおいて,腱板再断裂は外転筋力を低下させ棘上筋萎縮を進行させることを念頭におき加療する必要がある.