抄録
前上方不安定症が主因と思われる投球障害肩に対して,弛緩した上関節上腕靱帯(SGHL)や中関節上腕靱帯(MGHL)の緊張化を図る目的で,その付着部位である関節唇(SLAP)を関節窩にスーチャーアンカーを用いて修復する鏡視下前上方安定化手術を施行した(SGHL/MGHL tensioningと定義した).
術後12ヵ月以上が経過した12肩を対象とした.完全復帰は5肩,不完全復帰7肩であった.SLAP損傷を認めた7肩は認めなかった5肩に比べて有意に臨床成績が良好であった.SLAP損傷がなくSGHL/MGHLの弛緩 • 非薄化のみの場合は,それらの質的低下によりtensioning では安定化作用が不十分である可能性があった.
SGHL/MGHLの tensioning による前上方安定化手術は投球復帰を可能にし,その付着部であるSLAP損傷を認めた場合の臨床成績は特に良好であった.