抄録
患者立脚肩関節評価法(Sh36)とDisability of the Arm, Shoulder and Hand日本手外科学会版(DASH)を用いて,反復性肩関節脱臼の鏡視下Bankart法術前・術後のQOL変化を評価し,Sh36の有用性を検討した.反復性肩関節脱臼の診断で鏡視下Bankart法を行った28例30肩を対象とした.全例男性,平均年齢は25.3歳,術後平均経過観察期間は11.0か月であった.Sh36とDASHを用いて術前・術後のQOL評価を行い,医師側の視点による従来型の評価として日本整形外科学会肩関節疾患治療成績判定基準(JOA)も同時に評価し,Sh36との相関を比較した.Sh36はスポーツ・ドメインのみが有意に改善した.他のドメインでは術前・術後ともに高値であった.DASH と DASH-Aは術後,有意に改善した.反復性肩関節脱臼は日常生活において明らかな愁訴がないことも多い.Sh36を用いた評価では術前のQOLの低下を反映しにくく,術後の改善が十分に評価できなかった.DASHを用いた評価では有意な改善がみられ,鏡視下Bankart法の術前・術後の評価ではDASHが有用であった.