肩関節
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生化学
ラット肩滑膜組織由来細胞の増殖能 • 多分化能の検討
大原 敏之日山 鐘浩大関 信武宗田 大望月 智之二村 昭元宮本 崇
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2015 年 39 巻 2 号 p. 370-374

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抄録

 我々は種々の動物で膝関節滑膜の間葉系幹細胞(MSCs)が他組織由来MSCsに比べ高い増殖 • 分化能を有し軟骨及び半月板の細胞治療に有用であると報告してきた.近年動物の肩腱板損傷モデルでの細胞治療研究が注目を集めている.我々は再生医療研究の細胞源としてヒト腱板と構造機能が類似し,膝滑膜と他組織MSCsの検討が進んでいるラット肩関節の滑膜MSCsに注目し検討を行った.Lewisラットの肩関節と膝関節から滑膜を採取,有核細胞を回収し増殖能 • 多分化能を比較した.肩 • 膝の滑膜MSCsはいずれも増殖能 • 多分化能を認めたが,肩滑膜MSCsは増殖能で膝滑膜MSCsに劣っていた.これは滑膜に占める脂肪組織の割合が肩滑膜MSCsで大きいためと考えられた.ヒト臨床応用で手術部位からMSCsを採取できるメリットは大きい.今後本研究をふまえてラット肩腱板損傷モデルに対する自家肩滑膜MSCs添加の効果を検討していく.

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© 2015 日本肩関節学会
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