抄録
新鮮肩鎖関節脱臼に対して人工靭帯を用いた鏡視下烏口鎖骨靭帯再建術を行い,術後感染をきたし抜釘を行った1例を経験したので報告する.25才女性で交通事故にて左肩鎖関節脱臼(Rockwood type III)を受傷し,全身麻酔下に人工靭帯を用いた鏡視下烏口突起靭帯再建術を行った.術後1週目に39度台の発熱,鎖骨遠位部の術創が離開しデブリドマンを施行したが,創部は治癒せず術後3ヶ月で抜釘術を施行した.抜釘後は肩鎖関節再脱臼を認めたが,創部は治癒した.本症例はアトピー性皮膚炎の既往があり肩鎖関節脱臼の整復が不十分で不安定性が残存し,そのために鎖骨遠位部の創部が離開し,創治癒不全から感染を引き起こしたと考えた.アトピー性皮膚炎の既往のある患者に対する鏡視下手術は皮膚状態や体格も考慮し,十分な整復と鎖骨遠位部での固定はコンパクトな方法が望ましいと考えられた.