肩関節
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脱臼
肩関節不安定症患者が関節不安感を感じる時の上腕骨頭の動態評価
中脇 充章見目 智紀宮島 玄陽名倉 直重藤巻 寿子髙相 晶士
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2016 年 40 巻 3 号 p. 832-837

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抄録

 肩関節脱臼後に関節不安感が誘発されている際の肩関節内をCine MRIによって撮像し上腕骨頭の動態と関節不安感の関係について検討した.対象は肩関節脱臼後不安感を認める16名17肩.生食15mlを肩関節内に注射後撮像.撮像動作は肩関節外転0度での20秒間の内外旋他動運動とした.評価項目は回旋動作中の関節不安感の有無,上腕骨頭中心の変位とした.骨頭中心の変位は肩甲骨面に対する垂直二等分線を基準に腹側方向を正とした.不安感は外旋時:5肩,内旋時:10肩,内外旋時:3肩で認めた.5肩は今回の操作では不安感を感じなかった.平均骨頭中心位は関節不安感の有無で有意差は認められなかった.今回の反復性肩関節脱臼患者の骨頭中心は,生食注入下ではない正常肩とは逆方向に変位していた.この事から関節包が骨頭中心の制動に大きく関与していることが分かった.関節不安感の自覚の有無と骨頭変位量では有意差がなく,関節不安感と骨頭変位量に関連性はなかった.

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© 2016 日本肩関節学会
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