肩関節
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40 巻 , 3 号
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解剖
  • 新井 隆三, 中村 伸一郎, 栗山 新一
    2016 年 40 巻 3 号 p. 797-800
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/28
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     学生実習用標本10肩にてrotator cable(以下RCa)を解剖学的に調査した.棘上筋棘下筋を関節包から剥離した後に関節包を関節窩及び大結節から剥離した.RCaおよびrotator crescent(以下rcr)の寸法と上腕骨頭径を計測した.また,RCaの輪郭を骨頭上にマーキングし,その位置を観察した.RCaは薄い関節包とrcrの間で前後に円弧状に走る索状組織であったが,rcrが厚い2検体ではRCaを同定できなかった.RCaを認めた8肩(右3肩左5肩,男3体女4体,平均年齢 88.9歳)では「rcrの高さ(内外側径)とRCa幅の和」と,「上腕骨頭径」とが強い負の相関を示した.また,RCaの内側縁は上腕骨頭が大結節から関節窩に向けて丸みを帯び始める変曲点とほぼ一致していた.RCaは上腕骨頭と形態的関連が強く,腱板・骨頭間で関節包に生じる引っ張り荷重に抗した結果である可能性が示唆された.
  • 高瀬 勝己, 山本 謙吾
    2016 年 40 巻 3 号 p. 801-804
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル 認証あり
     腱板断裂の発生原因は内因および外因要素が考えられる.腱板非断裂例における肩峰下面部,特に烏口肩峰靱帯付着部の組織学的変化の有無および腱板断裂発生原因の可能性につき検討した.肩峰下Impingement徴候を有する患者に直視下手術を施行し肩峰下面部を切除した11例を対象とした.男性7例,女性4例,手術時平均年齢49.7歳であった.摘出標本に光学ならびに電子顕微鏡検査を施行した.肩峰下面部で確認される正常な4層構造は全例に破綻していたが,変化は線維軟骨層までにとどまり年齢による増悪を認めた.一方,烏口肩峰靱帯の線維密度および弾性は年齢とともに粗造化あるいは減少していた.肩峰下面部の変化はwear and tearによる影響が大きい可能性がある.しかし,この変化に靱帯組織の弾力性が減じることが加わることで第2肩関節での大結節の滑走障害をきたし,腱板断裂発生の外的因子になる可能性があると推測した.
機能
  • 小野 健太, 遠藤 和博, 金澤 憲治, 浜田 純一郎, 萩原 嘉廣
    2016 年 40 巻 3 号 p. 805-808
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル 認証あり
     中年男性では両上肢挙上時,第2~4肋骨の動きが低下すると報告され,加齢による胸腰椎可動中心の変化が推測される.本研究の目的は,両上肢挙上時の胸腰椎分節変化角度の加齢による特徴を調査することである.20歳・50歳代男女各20名に対し,スパイナルマウスで両上肢下垂位と160°挙上位の胸腰椎矢状角度を計測した.検者内・検者間再現性を調査し,下垂位と160°挙上位の胸腰椎各分節変化角度を年代間で比較した.再現性は検者内・検者間いずれも高く,最大伸展分節は20歳代でT10/11,50歳代でT9/10であった.伸展変化角度について,50歳代で有意に低値を示した分節はT12/L1のみであり,上位胸椎・腰椎変化角度の標準偏差が両年代で大きかった.スパイナルマウスによる上肢挙上時の胸腰椎矢状角度計測は高い再現性を示し,両年代で上肢挙上時は下位胸椎が伸展する.
  • 政所 和也, 甲斐 義浩, 後藤 昌史, 永松 隆, 河上 淳一, 志波 直人
    2016 年 40 巻 3 号 p. 809-812
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル 認証あり
     本研究では,上肢挙上における肩甲骨運動には運動学的変化点が存在するとの仮説に基づき,肩甲骨上方回旋運動の変化点を同定し,さらにその変化点の性差について比較検討した.対象は,男性35名,女性19名の健常成人とし,端座位にて3秒間で最大挙上となるように肩甲骨面挙上を行わせた.測定には,磁気センサー式3次元空間計測装置を用いて,肩甲骨上方回旋角を算出した.得られた肩甲骨上方回旋角に折れ線グラフを当てはめ,グラフの傾きが変化する点(変化点)が検出される上肢挙上角を男女間で比較した.分析の結果,肩甲骨上方回旋の変化点が検出された上肢挙上角は,男性:78.7±15.7°,女性:78.9±14.1°であり,男女間に有意な差は認められなかった.これらのことより,上肢挙上時の肩甲骨上方回旋は直線的に増加しないこと,男女ともに上肢挙上約80°に肩甲骨上方回旋の変化点が存在することが示された.
診察・診断
  • 水城 安尋, 内村 大輝, 玉井 幹人
    2016 年 40 巻 3 号 p. 813-816
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル 認証あり
     腱板断裂における一次修復の目安として筋の萎縮や脂肪浸潤等が用いられる.我々は年齢等による筋萎縮の影響を検討するため,腱板断裂例以外の症例での筋萎縮を検討した.鏡視下に腱板断裂を否定した34例37肩平均年齢42.4歳.筋萎縮はMR斜位矢状断像にて肩甲棘が肩甲骨と連続する最外側のスライスを用いT2強調画像及びSTIR像を比較し,筋と筋+脂肪の比(筋占有率M/L),Tangent signの有無,筋萎縮の特徴を調査した.筋占有率は平均77.3%で男女比では女性の方が優位に低かった.年代別にみると有意差はないものの加齢に伴い脂肪部分は大きくなる傾向があった.Tangent signは全例で陰性であった.棘上筋の筋腹の量は性別や年令による影響を受ける可能性が考えられた.腱板断裂を修復する際に棘上筋の萎縮は年齢等に影響を考慮する必要がある.
  • 永松 隆, 甲斐 義浩, 後藤 昌史, 政所 和也, 河上 淳一, 志波 直人
    2016 年 40 巻 3 号 p. 817-820
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/28
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     Elbow extension testにおける肘伸展筋力は,投球障害肩の肩関節機能評価としてその有用性が報告されているが,本テストが陽性となる機序は明らかではない.本研究では,棘下筋機能が本テスト肢位における肘伸展筋力に及ぼす影響を調査した.対象は健常成人男性10名10肩とした.被験者には棘下筋の選択的疲労運動を行わせ,疲労前後で肘伸展筋力を測定した.肘伸展筋力は徒手筋力計にて等尺性筋力を測定し,同時に上腕三頭筋長頭,棘下筋,前鋸筋,僧帽筋上・下部線維の筋活動量を表面筋電図にて記録し解析した.統計処理にはWilcoxon符号付順位検定を用い,棘下筋疲労前後の肘伸展筋力値および各被験筋の筋活動量を比較した.その結果,肘伸展筋力値および棘下筋・僧帽筋上部線維の筋活動量は疲労運動後に有意に低下した.肘伸展筋力値は疲労前に比べ平均で約20%減少した.本テスト肢位での肘伸展筋力の低下には,棘下筋機能不全が関与している可能性が示された.
検査
  • 石垣 範雄, 畑 幸彦, 小林 博一
    2016 年 40 巻 3 号 p. 821-823
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル 認証あり
     われわれは腱板修復術後の評価法として,超音波を用いて修復腱板表面と三角筋下面の境界エコーを動的に評価してきた.今回,この評価法の有用性を検討した.術後1年以上経過した腱板断裂例586肩を対象とした.術後1年時の超音波検査にて三角筋下面と腱板表面の間の境界エコーに着目して,三角筋下面と腱板表面の間が完全に分離滑走している症例(良好群:467肩),分離が不十分な症例(不良群:119肩)に分類し,年齢、性別,断裂サイズ,術前と術後1年のROM,筋力,UCLAスコアおよびMRI評価について比較検討した.断裂サイズは不良群が良好群より有意に大きかった.良好群は不良群より術後1年の内旋可動域,屈曲・外転・外旋方向の筋力,UCLA スコア,MRIによるcuff integrityが有意に良好であった.今回の超音波による動的な評価法は,腱板修復術後の腱板機能評価に有用な方法の1つであると思われた.
  • 今村 塁, 廣瀬 聰明, 道家 孝幸, 芝山 雄二, 杉 憲, 水島 衣美
    2016 年 40 巻 3 号 p. 824-827
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル 認証あり
     MRI-Dixon法を用いて棘上筋脂肪量(fat fraction)を評価し,腱板非断裂群と断裂群におけるfat fractionとの関連を検討した.対象は,Dixon法を含むMRI検査を施行しえた98例103肩であり,腱板断裂を認めない27肩を非断裂群,部分断裂10肩をP群,断裂サイズ3cm未満の38肩をSM群,3-5cmの18肩をL群,5cm以上の10肩をMa群と分類した.棘上筋のfat fractionを算出し,年齢およびBMIとの相関,さらに性別および断裂サイズごとのfat fractionについて検討した.断裂群の女性(39.5±12.5%)では,fat fractionと年齢に正の相関(r=0.45,p<0.01)を認め,断裂群の男性(31.5±10.1%)に比べ有意に高値を示した.また,断裂サイズが大きくなるほどfat fractionは高値を示す傾向であった.
  • 水島 衣美, 廣瀬 聰明, 吉本 正太, 道家 孝幸, 芝山 雄二, 杉 憲, 今村 塁, 岡村 健司
    2016 年 40 巻 3 号 p. 828-831
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル 認証あり
     近年本邦に導入されたリバース型人工肩関節置換術では,三角筋筋力が保たれていることがその適応の一つであるが,腱板断裂と三角筋筋力および三角筋の脂肪浸潤との関連について調査した報告は少ない.本研究では筋肉内脂肪量の客観的評価に有用とされるDixon法を用い,腱板断裂患者における三角筋の脂肪量(fat fraction)を評価検討した.
     対象は鏡視下腱板修復術の術前MRIを撮像した32例33肩.平均年齢66歳,男性17肩,女性16肩であった.MRIでT2強調画像とDixon法の撮像を行い,Axial像で上腕骨頭が最大径となるレベルで三角筋断面積を計測,また同レベルのfat fractionを算出した.三角筋の断面積,fat fractionと性別,年齢,BMI,ROM,術前の90度外転筋力,罹病期間,断裂サイズ,VAS,DASH,shoulder36との関連を検討した.
     三角筋断面積は男性またはBMIが高いと大きく,またFat fractionは筋力との相関はないものの,Shoulder36の疼痛,筋力,Sportsの項目と相関しており,自覚的な症状の強さと関連している可能性が推察された.
  • 荻本 晋作, 鶴田 敏幸
    2016 年 40 巻 3 号 p. 1109-1115
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/04/26
    ジャーナル 認証あり
     健常成人男性の肩関節周囲筋群の筋電図解析を行い,臨床応用について検討した.棘上筋,棘下筋横走・斜走線維,小円筋にはエコー下にワイヤー電極,上腕二頭筋と三角筋の前・中・後部線維には表面電極を用い,3つの挙上の経路(前方,肩甲骨面,側方),4つの回旋角度(thumb down,palm down,thumb up,palm up),2つの挙上角度(45,90度),2つの負荷(自重,3 kg 重錘)を組み合わせた48通りの筋活動を計測した. 自重負荷では,側方挙上90度での最大内旋位で棘上筋は最大の筋活動となり棘下筋は最小の筋活動を示した.棘下筋は前方挙上90度での最大外旋位で高い筋活動を示すのに対し棘上筋の筋活動は最小となった.同一肢位では上腕骨は外旋するほど三角筋にかかる負担は少ない傾向であった.徒手検査では棘上筋は側方挙上内旋位,棘下筋は前方挙上外旋位でのテストが有用である可能性がある.
脱臼
  • 中脇 充章, 見目 智紀, 宮島 玄陽, 名倉 直重, 藤巻 寿子, 髙相 晶士
    2016 年 40 巻 3 号 p. 832-837
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル 認証あり
     肩関節脱臼後に関節不安感が誘発されている際の肩関節内をCine MRIによって撮像し上腕骨頭の動態と関節不安感の関係について検討した.対象は肩関節脱臼後不安感を認める16名17肩.生食15mlを肩関節内に注射後撮像.撮像動作は肩関節外転0度での20秒間の内外旋他動運動とした.評価項目は回旋動作中の関節不安感の有無,上腕骨頭中心の変位とした.骨頭中心の変位は肩甲骨面に対する垂直二等分線を基準に腹側方向を正とした.不安感は外旋時:5肩,内旋時:10肩,内外旋時:3肩で認めた.5肩は今回の操作では不安感を感じなかった.平均骨頭中心位は関節不安感の有無で有意差は認められなかった.今回の反復性肩関節脱臼患者の骨頭中心は,生食注入下ではない正常肩とは逆方向に変位していた.この事から関節包が骨頭中心の制動に大きく関与していることが分かった.関節不安感の自覚の有無と骨頭変位量では有意差がなく,関節不安感と骨頭変位量に関連性はなかった.
  • 鶴田 大作, 村 成幸, 鈴木 朱美, 結城 一声, 高木 理彰
    2016 年 40 巻 3 号 p. 838-842
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル 認証あり
     50歳以上の外傷性肩関節前方不安定症に対し,鏡視下Bankart修復術により手術を行った症例を検討した.対象は当院で外傷性肩関節前方不安定症に対して手術が行われた患者6名6肩(男1肩,女5肩:手術時平均年齢は63歳).術前脱臼回数は平均5回.術前MRIで腱板大断裂3肩,広範囲断裂1肩を認めた.BIOKNOTLESS® Anchorを用いた鏡視下Bankart修復術を全例施行,手術所見,術後成績について検討した.関節窩前下方の摩耗・骨欠損,Hill-Sachs損傷,Bankart損傷は全例で認めた.関節包断裂は2例で認め,修復が行われた.術後1年以上経過していた4例の平均経過観察期間は27か月であった.JOA scoreの平均は術前65.6点が術後82.8点へ,JSS肩不安定症スコアの平均は術前44点が術後79.5点へそれぞれ改善した.再脱臼や脱臼不安感の再発はなかったが,腱板断裂を伴った男性の1例で,術後1年で疼痛が出現し,可動域,機能面でも低下がみられた.
  • 石田 康行, 長澤 誠, 谷口 昇, 大田 智美, 中村 志保子, 帖佐 悦男
    2016 年 40 巻 3 号 p. 843-847
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル 認証あり
     外傷性肩関節前方脱臼に対する鏡視下バンカート修復術(ABR)の術後成績を調査し,その問題点を検討した.2005年から2014年までにABRを行い,術後12ヶ月以上観察できた74肩を対象とした.年齢は平均27.6歳.経過観察期間は平均20.6ヶ月,追加手術は腱板疎部縫縮術,SLAP修復術,関節包断裂修復術であった.臨床成績を術前術後のJSS-SIS,Rowe scoreで評価し,術後関節可動域を自動前方挙上,他動下垂位外旋(ER1),90°外転位外旋(ER2),結帯(ADD)で評価した.再脱臼の有無を調査した.JSS-SIS,Rowe scoreは術前と比べ術後に有意に改善した.術後日常生活に支障をきたす可動域制限はなかった.術後健側と比較して患側のER1,ER2,ADDが低下していた.追加手術の有無で可動域に差はなかった.再脱臼は4肩に認め,全例ラグビーでの再受傷であった.コリジョンアスリート例では再受傷の危険性があり,鏡視下手術を行う際にはABRに加え,Remplissage等のより強固な補強術が必要と思われた.
  • 井坪 広樹, 吉村 英哉, 新谷 尚子, 初鹿 大祐
    2016 年 40 巻 3 号 p. 848-852
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル 認証あり
     骨性バンカート病変の強固な固定を目指し,我々は単層固定法(以下SR法)に代わり重層固定法(以下DR法)を行っている.また最近ではアンカーを骨片に直接貫通する重層固定法変法(以下MDR法)も行っており,それぞれ比較検討した.関節窩欠損率10%以上の大きな骨性バンカート病変を有する24例25肩を対象とした.17例SR法,8例(4例DR法,4例MDR法)であった.術前後での関節窩欠損率,術後6ヶ月時点での骨癒合率を3D-CTにて評価した.日本肩節学会不安定症評価スコア(JSS-SIスコア),Rowe スコアで術後成績を評価した.関節窩欠損率は術後有意に改善したが,DR法,MDR法に差はなかった.骨癒合はSR法6例,DR法1例MDR法4例であった.JSS-SIスコア,Rowe スコアともに改善した.大きな関節窩骨欠損例では重層固定法および重層固定法変法は有用であると考えられた.
  • 向井 章悟, 中川 泰彰, 佐治 隆彦
    2016 年 40 巻 3 号 p. 853-856
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル 認証あり
     反復性肩関節脱臼に対する関節鏡視下バンカート修復術の術後成績は良好であるが,経過観察中に変形性関節症変化を起こしてくる症例があることが報告されているもののスポーツの影響については詳細な報告がない.われわれは鏡視下バンカート修復術を受け,術後3年以上collision sportを継続した9名10肩の術前後について単純レントゲンから比較を行った.術前はMildな変形を認めた2肩以外は正常で,術後は正常が2肩,変形性関節症変化ではMildが 6肩,Moderateが1肩,Severeが1肩に認められた.変形が認められた8肩のうち7肩では術前より進行していた.術前の関節窩の骨形態に摩耗が認められた5肩は術後には5例とも変形性変化が認められており重症例が含まれていた.Collision sportにおいては肩甲骨関節窩の骨形態が摩耗している症例では鏡視下バンカート修復術の術後経過中に変形性関節症変化が発症,進行する可能性が高いと推測された.
  • 山本 隆一郎, 黒河内 和俊, 高橋 成夫, 與田 正樹, 中島 基成
    2016 年 40 巻 3 号 p. 857-860
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル 認証あり
     鏡視下Bankart修復術前後の肩甲関節窩骨形態の変化について3DCTにて評価することが目的である.対象は2008-13年に鏡視下Bankart修復術を行い,術前,術直後,術後1年以上の3回3DCTを撮影した26例,男性19例,女性7例,平均年齢25.4歳.平均経過観察期間は17.0か月.術前のCTで骨性Bankart損傷の合併を評価した.術直後と1年以上経過したのちのCTの比較で,肩甲関節窩の前下方の骨形態の評価を行った.24例で何らかの関節窩の縫合糸アンカー(以下アンカー)周囲での骨欠損を認めた.特に,骨性Bankart損傷を有さない症例では関節面ではほぼアンカー付近まで骨欠損が進行していた.また関節窩前下方辺縁で新たな面を形成する変化を認めた.鏡視下Bankart修復術後に何らかの骨欠損の進行を認めたが,これは再建された関節上腕靭帯複合体にかかる力学的負荷に対する変化と考えると合目的である.
  • 村 成幸, 結城 一声, 原田 幹生, 丸山 真博
    2016 年 40 巻 3 号 p. 861-863
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル 認証あり
     本研究の目的は,外傷性肩関節前方不安定症に対するソフト縫合糸アンカー(JuggerKnotTM;JK)を用いた鏡視下Bankart 修復術(ABR)の成績を明らかにすることである.JKのみを用いたABR15例16肩を対象とした.手術時平均年齢は22歳(15-61)であり,術後経過観察期間は21.4か月(12-29)であった.手術法は,JKを肩甲関節窩前縁に一列に挿入するシングル法(5肩)と二列に挿入するTAFF法(11肩)を行った.不安定症スコアは術前52.5点から,術後79.1点に改善した.術後外旋制限は下垂位平均6.9°,外転位8.1°であった.術後の再発(6~19か月)は,7肩44%(シングル法2肩,TAFF 法5肩)に認めた.再発例は,非再発例に比べ,弛緩性を有する関節数が有意に多かった(3.1対1.1).年齢,肩甲関節窩の骨欠損率,JKの本数は,差がなかった.
  • 杉 憲, 廣瀬 聰明, 今村 塁, 吉本 正太, 道家 孝幸, 芝山 雄二, 水島 衣美, 岡村 健司
    2016 年 40 巻 3 号 p. 864-868
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル 認証あり
     本研究の目的は日本人の烏口突起(CP)と関節窩(GL)のサイズを検討し,Latarjet法により骨欠損がどの程度補填されるか検討することである.当施設でCT撮影された130例239肩を対象にDICOMデータを3次元化し,CPとGLの計測を行った.CP長は平均29mm,CP幅は平均10mmであった.一方GL最大横径は平均27mm,GL最大縦径は平均36mm,最大横径の25%長は平均7mm,GL前縁から最大横径の25%長点におけるGL縦径は平均26mmであった.またLatarjet法でscrewを2本挿入するのに必要なCP移行長は25mmと報告されているため,CP長25mm以上と25mm未満で骨欠損の補填率を比較した.縦径を完全補填した症例数の割合は82% vs 39%と有意差を認めたが,横径は99% vs 100%と有意差なく良好であった.25mm未満の場合も横径補填は良好だが,縦径補填は不足する可能性が示唆された.
  • 黒田 大輔, 柴田 陽三, 伊﨑 輝昌, 藤沢 基之, 篠田 毅, 熊野 貴史, 櫻井 真, 三宅 智
    2016 年 40 巻 3 号 p. 869-873
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル 認証あり
     当科では鏡視下Bankart修復術後の再脱臼例でスポーツ継続を希望する者に,直視下Latarjet法にBankart修復術を併用した関節制動術をおこなっている.本研究の目的は本術式の術後成績を調査することである.当科で鏡視下Bankart修復術を施行したスポーツ選手36例36肩のうち再脱臼した5例5肩(13.9%)を対象とした.男性4例,女性1例,平均年齢24.0歳.平均観察期間19.5ヶ月(最低12ヶ月)であった.競技種目は野球2例,ラグビー1例,打撃系格闘技1例,モトクロスバイク1例であった.全例スポーツ中に再脱臼が生じた.可動域,JOAスコア,JSS shoulder sportsスコア,JSS shoulder instabilityスコアを術前後で調査した.全例スポーツ復帰でき,再脱臼例はなかった.可動域データ,ならびに各種肩機能評価のデータは平均値±SDで表記し,再手術前/術後の順番で可動域は,屈曲160±0°/153±6.6°,外転162±4°/159±6.6°,外旋66±8°/61±15.6°,水平外旋84±4.9°/86±10.7であった.JOA スコアは75.4±5.6点/94.4±6.5点,JSS shoulder sportsスコアは54.6±10.1点/85.8±5.9点,JSS shoulder instability スコアは54.8±4.4点/87.4±3.2点であった.本術式はスポーツ選手の鏡視下Bankart修復術後の再脱臼例に対する有効な術式である.
骨折
  • 白石 勝範, 横矢 晋, 原田 洋平, 望月 由, 越智 光夫
    2016 年 40 巻 3 号 p. 874-877
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル 認証あり
     Mode proximal humeral plate(MODEプレート®)を用いMinimally invasive plate osteosynthesis(MIPO)法を行った上腕骨近位端骨折の術後成績を評価し,MODEプレート®の有用性に関し考察することである.
     上腕骨近位端骨折にMODEプレート®を用いてMIPO法を行い,術後1年以上経過観察可能であった4肩を対象とした.AO分類でA3が2肩,B1が1肩,C2が1肩,既往歴として2肩に糖尿病を認めた.検討項目は最終診察時の自動肩関節可動域(屈曲, 外転,外旋, 内旋),術直後と最終診察時のHumeral Head Height(HHH)とNeck Shaft Angle(NSA),術後1年のJOAスコアとした.
     骨癒合は全症例で得られ,最終診察時の平均自動肩関節可動域は,屈曲,外転,外旋,内旋がそれぞれ116°,111°,46°,Th9であり,術直後と最終診察時の平均HHH,NSAは,それぞれ17 mm と 17 mm(P=0.72),131°と130°(P=0.72),平均JOAスコアは76点であった.
     MODEプレート®は,Infero-Medial screwを挿入でき,かつプレート上端部のインピンジメントを予防でき,さらにスクリュー挿入に際し腋窩神経に対して安全であるため有用である.
  • 山口 浩, 呉屋 五十八, 堀切 健士, 金谷 文則
    2016 年 40 巻 3 号 p. 878-881
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル 認証あり
     上腕骨近位端骨折に対する人工骨頭置換術後の肩関節可動域の改善は不十分である.本研究では44例の術後肩関節可動域(屈曲・外旋・内旋)とX線学的合併症を調査した.術後平均関節可動域は,屈曲は91.4±38.9°(30-170°),外旋は26.3±18.1°(0-70°),内旋は2.9±1.9点(0-6点)(JOAスコアを用いて点数化),X線学的合併症は,大結節の吸収が36%,骨頭上方化が11%,骨頭下垂が7%,大結節転位と関節周囲の石灰化が2%であった.本研究の結果もこれまでの報告と同様に関節可動域の回復は不十分であった.大結節癒合,70歳未満,男性は肩関節可動域(特に屈曲)の改善が良い傾向を認めた.
  • 鷹羽 慶之, 武長 徹也, 多和田 兼章, 後藤 英之, 土屋 篤志, 竹内 聡志, 杉本 勝正, 大塚 隆信
    2016 年 40 巻 3 号 p. 882-885
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル 認証あり
     上腕骨大結節骨折に対する骨接合術において骨片が脆弱で小さい症例では固定方法に苦慮することがある.近年,このよう上腕骨大結節骨折に対する骨接合術において骨片が脆弱で小さい症例では固定方法に苦慮することがある.近年,このような症例に対してスーチャーアンカーを用いた骨接合術が報告されており,本研究の目的は自験例における同方法の有用性について検討することである.上腕骨大結節骨折に対して直視下にスーチャーアンカーを用いて骨接合術を施行した6例(全例女性,手術時平均年齢68.0歳)を対象とした.治療成績をJOAスコア,X線学的評価,合併症にて調査した.術後平均観察期間は14ヵ月で,術後平均JOAスコアは85点であった.6例中5例で骨癒合が得られ,術中合併症としてアンカーの脱転を1例,アンカー挿入部の骨折を2例認めた.上腕骨大結節骨折に対するスーチャーアンカーを用いた骨接合術の術後成績は概ね良好であった.しかし,骨質が不良な症例に対しては術中のアンカー挿入において十分な注意が必要であると思われた.
筋腱疾患
  • 菊川 憲志, 井手 淳二
    2016 年 40 巻 3 号 p. 886-889
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル 認証あり
     後上方型腱板断裂における肩関節自動可動域と残存する小円筋の状態との関連性を調査した.対象は棘下筋萎縮を伴う後上方型腱板断裂と診断された35肩,MRI斜位矢状断像を用いた小円筋評価法に準じて,小円筋肥大群(H群,17肩),小円筋正常群(N群,10肩),小円筋機能不全(筋萎縮・断裂・高度脂肪変性)群(D群,8肩)に分類した.患側・健側の自動肩関節可動域は屈曲,外転,下垂位外旋・内旋,90°外転位外旋・内旋にて計測した.屈曲・外転・下垂位内旋・90°外転位内旋は有意差を認めなかった.下垂位外旋(患側)はH群とD群,N群とD群間で有意差を認めた.90度外転位外旋(患側)は,H群とN群,H群とD群で有意差を認めた.またN群,D群では,患側と健側において有意差を認めた.棘下筋萎縮を伴う後上方型腱板断裂においては,肥大した小円筋が外旋機能に寄与することがわかった.
  • 熊本 久大, 渡邉 幹彦, 広瀬 秀史, 米川 正悟, 小川 剛司, 和田 一佐, 稲垣 克記
    2016 年 40 巻 3 号 p. 890-893
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル 認証あり
     前上方腱板断裂は診断・治療に難渋することが多く,また修復の際に上腕二頭筋長頭腱(LHBT)を切離する報告が多い.しかしLHBTには様々な役割があることから,我々は可能な限りこれを温存して治療している.本研究では前上方腱板断裂に対しLHBTを温存した症例の手術術式と治療成績を報告する.
     当院にて関節鏡手術を行い,LHBTを温存した前上方腱板断裂で1年以上追跡調査可能であった60肩を調査した.手術の際はLHBTを安定させるように腱板を修復した.JOA scoreは術前66.9±11.1(SD)点から術後95.0±5.2(SD)点へ改善した.MRIにて菅谷分類type4.5に相当する再断裂は認めなかった.
     LHBTを温存しても治療成績は良好であったことから,我々は今後も可能な限りLHBTを温存した手術を行っていく予定である.
  • 藤井 幸治, 武田 芳嗣, 宮武 克年
    2016 年 40 巻 3 号 p. 894-896
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル 認証あり
     鏡視下腱板修復術で頻用されるdouble row(DR)法とsuture bridge(SB)法を比較した報告は少ない.腱板完全断裂に対するDR法とSB法の,術後3カ月時後上方腱板の修復状態に関して無作為比較試験を行った.cuff integrityはMRI,Sugaya分類で評価した.症例はDR法47例,SB法46例,平均年齢64(40~80)歳であった.年齢,性,断裂サイズ,肩甲下筋腱断裂合併,外傷歴,喫煙,糖尿病は両修復法間で差はなかったが,SB法症例の術前脂肪浸潤,筋萎縮が強かった(p=.044, .017).術後3カ月時後上方腱板修復状態は,非癒合がDR群7例(15.2%),SB群7例(15%)で有意差はなかった(p=0.965,power=0.8).二変量解析では癒合例と非癒合例間で断裂内外距離,術前脂肪浸潤,筋萎縮で有意差を認めたが,ロジスティック回帰分析による多変量解析では断裂内外距離のみが非癒合の独立した予測因子であった(p=0.012).
  • 檜森 興, 田中 稔, 佐藤 克巳, 井樋 栄二
    2016 年 40 巻 3 号 p. 897-900
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル 認証あり
     腱板断裂患者において夜間痛による睡眠障害はよく見受けられるが,それに関する報告は少ない.本研究の目的は夜間痛による睡眠障害を多角的に評価し,その特徴を明らかにすることである.
     対象は夜間痛を伴う腱板断裂患者66例66肩である.発症前及び夜間痛が最高時点でのアテネ睡眠尺度の各項目(寝つき,中途覚醒,早期起床,総睡眠時間, 睡眠の質,日中の気分,日中の活動性,日中の眠気),総睡眠時間,最長連続睡眠時間,中途覚醒回数,及びVisual Analogue Scale(VAS)について検討した.
     アテネ睡眠尺度はすべての項目において最強時の方が有意に高かった.総睡眠時間は6.7/ 5.2時間(発症前/ 最強時)で平均1.5時間短縮し,最長連続睡眠時間も5.8/ 2.7時間と減少していた.中途覚醒回数は0.1/ 2.5回,VASはそれぞれ0.0/ 7.0と有意に増加していた.
     夜間痛による睡眠障害は総睡眠時間や中途覚醒など睡眠の量,質ともに低下がみられ,入眠障害を特徴とする原発性不眠症とは異なる特徴を有していた.
  • 中原 信一, 衛藤 正雄
    2016 年 40 巻 3 号 p. 901-905
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル 認証あり
     糖尿病患者(D群)と非糖尿病患者(N群)との肩腱板断裂に対する鏡視下腱板修復術の治療成績を比較したので報告する.鏡視下に一次修復可能であった194肩/37肩(以下N群/D群)を対象とし,手術時平均年齢64.7歳/65.0歳,術後最終MRI検査時期は平均15.7ヵ月/15.7ヵ月であった.JOAスコアと屈曲・外転角度,術後修復状態をMRIで評価し,授動術の有無と合併症を調べた.JOAスコアの総点および屈曲・外転は各群とも有意に改善し,両群間に有意差はなかった.再断裂は17.5%/10.1%で両群間に有意差はなく,D群内で治療期間,術前HbA1c別での再断裂も明らかな有意差を認めなかった.授動術を10.3%/13.5%に行っており,術後合併症に感染例は両群ともなく,手指のしびれや腫脹などのCRPS様症状を18.0%/21.6%を認め,これらも有意差はなかった.
     糖尿病患者の腱板断裂に対する鏡視下腱板修復術では非糖尿病患者と同様に良好な治療成績を得られた.
  • 祐成 毅, 森原 徹, 甲斐 義浩, 古川 龍平, 加太 佑吉, 櫛田 里恵, 河邉 祥子, 藤原 浩芳, 黒川 正夫, 久保 俊一
    2016 年 40 巻 3 号 p. 906-908
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル 認証あり
     本研究の目的は,腱板断裂患者に対してリドカインテストを施行して除痛を行い,テスト前後における肩関節動態を三次元的に解析し,比較検討することである.対象はインピンジメント徴候が陽性で挙上時痛を有するが,自動肩甲骨面挙上が120度以上可能な腱板断裂患者12例12肩であった.肩峰下滑液包内にリドカインを投与し,注射前後で,Numeric Rating Scale(NRS)を用いて,挙上時痛の程度を評価した.磁気センサー式3次元空間計測装置を用いて,肩甲骨面挙上での肩甲骨上方回旋角,肩甲骨後傾角,肩甲骨内旋角および肩甲上腕挙上角を注射前後で算出した.NRSは注射後有意に低下した(P<0.001).三次元での肩関節動態は,いずれも注射前後で有意差を認めなかった.腱板断裂患者における疼痛は,肩関節動態のパターンに影響を及ぼさない可能性を示した.
  • 浅井 秀明, 守重 昌彦
    2016 年 40 巻 3 号 p. 909-911
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル 認証あり
     腱板断裂に対するsuture-bridge法(以下SB)を用いた鏡視下腱板修復術は術中の腱板修復デザインやtension controlが難しく術後再断裂を来すことがある.この問題を解決するため,我々はSB法のbridging anchor固定前に腱板の外側端を最小限のanchorで固定し整復位を得るanatomical Suture-Bridge法(以下a-SB)を行っており,その有用性を検討した.対象は2011年11月から2013年6月までにSB法で治療した39肩と2013年6月から2014年4月までにa-SB法をおこなった16肩で,術後1年での自動可動域の内,屈曲,外転,下垂位外旋と,JOA scoreおよびMRI菅谷分類のtype 4と5を再断裂と定義した時の再断裂率をMann-Whitney U検定およびχ2検定で比較検討し,P<0.05を有意差ありとした.結果は可動域,JOA scoreはa-SB群で良好な傾向にあったが有意差はなかった.再断裂率はSB群30.8%に対しa-SB群は6.2%と有意に低かった(p<0.05).a-SB法に関する報告はいまだ少なく,今後さらなる検討が必要だが,再断裂率を低下させることが可能であると思われる.
  • 橋本 卓
    2016 年 40 巻 3 号 p. 912-915
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル 認証あり
     著者らはSurface-holding repair法(以下SH法)による鏡視下腱板修復術の術後成績がSuture bridge法よりも比較的良好であることを報告してきた.今回はSH法を施行した44例44肩に絞って検討を行った.男性27肩,女性17肩,平均年齢は66. 4歳(51-80歳),平均経過観察期間は23.5ヶ月(12-40ヶ月)であった.断裂形態は不全及び小断裂7,中断裂5,大断裂10,広範囲断裂22肩であった.検討項目は術前の筋脂肪変性の程度,日本整形外科学会肩関節疾患治療成績判定基準(以下JOAスコア)及びMRIによるcuff integrityの評価とした.JOAスコアは術前平均56.8点から術後88.9点と有意に改善した.再断裂は9肩(再断裂率:20.5 %)で,広範囲断裂例に限ると再断裂率は27.3 %,筋脂肪変性がstage 3以上の症例の再断裂率は31.6 %であった.
  • 飯森 由紀, 田中 誠人, 林田 賢治
    2016 年 40 巻 3 号 p. 916-919
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル 認証あり
     鏡視下腱板修復術後の夜間痛の強度を継時的に評価しその変化を検討したので報告する.鏡視下腱板修復術症例72肩の術後14日間のp-VASの継時的変化を調査した.全経過中を通して夜間痛が不変であったものは13肩,減弱したものは31肩であった.減弱した後に増強を認めたものは4肩,経過中に術直後より夜間痛が増強したものを5肩に認めた.術後5日までに急減したものは19肩,うち13肩は急減後に疼痛不変,1肩は減弱,5肩は増強した.全72肩中14肩で経過中に夜間痛の増強を認めた.疼痛増強群とそれ以外の群を比較すると,断裂サイズにおいてのみ有意差を認めた.その他の患者背景,修復法,再断裂の有無には有意差を認めなかった.鏡視下腱板修復術後の夜間痛は全体では減弱していく傾向にあるが,個々の症例では疼痛が経過中に増強するものもあり,個々に応じた疼痛コントロールが必要と考えられた.
  • 吉村 英哉, 二村 昭元, 望月 智之
    2016 年 40 巻 3 号 p. 920-923
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル 認証あり
     上腕二頭筋長頭腱病変に対して近年では積極的に腱固定・切離を行う傾向がある.今回我々は,腱板断裂に合併して上腕二頭筋長頭腱病変のある症例に対し,これを温存または腱固定・切離を行いその治療成績を前向きに比較検討した.
     上腕二頭筋長頭腱に実質部1/2以上の部分断裂を認めた22例を対象とした.12例には上腕二頭筋長頭腱を温存し,10例に対しては腱固定・切離術を行った.術後1年時の臨床所見と,Visual Analog Scaleによる疼痛評価について検討した.
     上腕二頭筋長頭腱病変を認める腱板断裂症例の術後成績は上腕二頭筋長頭腱温存群,腱固定・切離群ともに概ね良好であった.両群間で術後1年時の臨床成績に有意な差はみられなかった.
     今回我々は部分断裂のある上腕二頭筋長頭腱に対して温存をはかった症例と,腱固定・切離を行った症例の術後経過について前向きに検討した.いずれの方法も短期的に良好な成績が得られたが,どちらを選択すべきかは今後検討の余地があると考えられた.
  • 芝山 雄二, 廣瀬 聰明, 道家 孝幸, 杉 憲, 水島 衣美, 岡村 健司
    2016 年 40 巻 3 号 p. 924-927
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル 認証あり
     上腕二頭筋長頭腱(LHB)病変と上腕骨頭軟骨病変の関係について調査した報告は少ない.今回,腱板断裂患者に対してLHB損傷別に軟骨病変の合併頻度,重症度,上腕骨頭における局在を調査した.対象は鏡視下腱板修復術を行い断裂サイズが1-3cmの中断裂であった45肩(男15肩,女30肩,平均年齢65歳).LHB損傷を正常:18肩,断裂1/2未満(T<1/2):14肩,断裂 1/2以上+完全断裂(T≥1/2):13肩に分け,LHB損傷別に軟骨病変の合併率を調査し,その重症度をInternational Cartilage Repair Society(ICRS)分類で評価した.局在は上腕骨頭を9分割し,LHB損傷別にそれぞれの部位での軟骨病変の有無を調査した.軟骨病変の合併頻度は正常:50%,T<1/2:93%,T≥1/2:100%であった.LHB正常群と損傷群を比較した場合,損傷群で軟骨病変の重症度は高度で,局在ではLHB損傷がある場合,前上方に高率に認めた.またT<1/2群とT≥1/2群を比較した場合,重症度に有意差を認めず,局在では正中の病変がやや増加するが大きな変化はなかった.
  • 廣瀬 聰明, 岡村 健司, 吉本 正太, 道家 孝幸, 芝山 雄二, 杉 憲, 水島 衣美
    2016 年 40 巻 3 号 p. 928-932
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル 認証あり
     腱板断裂患者の関節症(OA)の評価を術前X線と関節鏡で行いX線のOAの診断率を調査し,さらに鏡視下腱板修復術(ARCR)の臨床成績をOAの有無に分けて検討した.対象は腱板断裂に対してスーチャーブリッジ法によるARCRを施行し,術後2年以上が経過した60例60肩.男26肩,女34肩で,手術時年齢66歳(44-82),術後観察期間は27ヵ月(24-48),断裂サイズは小・中断裂が32肩,大・広範囲断裂が28肩であった.X線評価にはGerber分類を用い,mild以上をOAありとした.関節鏡視による評価にはOuterbridge分類を用い,grade 2以上をOAありとした.X線評価によるOAの診断率は感度74%,特異度40%,正診率68%であった.また小・中断裂においてX線上Gerber分類で関節症を認めた群では認めない群と比べて術後のJOAスコアX線の項目が有意に劣っていた.それ以外の臨床成績は,両群間に有意な差は認められなかった.
  • 菊川 和彦, 奥平 信義
    2016 年 40 巻 3 号 p. 933-937
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル 認証あり
     腱板腱内断裂は,診断が難しく,症例数が少ないため,まとまった報告はほとんどない.そこで,腱内断裂に対する鏡視下腱板修復術の治療成績,特徴を調査した.対象は8肩,男5肩,女3肩,手術時平均年齢は47歳,術後経過期間は12~42ヵ月であった.4肩(50%)が術前にMRIで腱内断裂と診断された.全例,鏡視下にプロ―ビングで断裂部を同定,試験切開し,トリミングした後,アンカーによる修復を行った.JOAスコアは術前66.3±7.2点が術後92.1±8.2点に,UCLAスコアは術前16.4±3.3点が術後31.4±3.4点に,VAS は術前6.8±1.3から術後1.2±1.3に改善し,良好な治療成績が得られた. 8肩の臨床的特徴は(1)若年者が多い(2)痛みや夜間痛が強い(100%)(3)拘縮例が多い(62%)(4)インピンジメントサイン陽性例が多い(75%)であった.これらの臨床的特徴をもち,罹病期間が長い症例では,腱内断裂も頭に入れ,治療にあたるべきと考える.
  • 加藤 久佳, 横山 祐介, 高田 真一郎, 安井 一貴, 鈴木 仁士
    2016 年 40 巻 3 号 p. 938-941
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル 認証あり
     Bridging suture(以下BS)法での内側列縫合併用は初期固定力は高いが,縫合部での再断裂の原因となる. 一方Net-like DAFF(以下NDAFF)法は,ソフトアンカーを多数挿入し,内側列縫合せず腱板引き込みの強弱に応じて糸の張力を個々に調節できる.腱板大・広範囲断裂に対する治療成績をBS法(内側列縫合あり; BS(+),なし: BS( - ))とNDAFF法で比較検討した. 2011年1月から2014年9月の期間で,術後1年以上経過した64肩(BS(+)群23肩,BS( - )群14肩,NDAFF群15肩)を対象とし,術前/後のJOAスコア,術後MRIでcuff integrity (Sugaya分類)で評価した. 術前/後平均JOAスコアはBS(+)群,BS( - )群,NDAFF群で各々65.7点,70.2点,70.1点から92.5点,94.5点,93.6点と有意に改善し,再断裂は18%,23%,22%認めたが各群間で有意差はなかった. type 5の割合は,各々0%,67%,83%で,内側縫合を行うBS(+)群は,内側縫合を行わないBS( - )群およびNDAFF群と比べ低かったことから,腱板大・広範囲断裂に対し初期固定として内側列縫合を検討しても良いかもしれない.

    この論文は第42回日本肩関節学会で発表した.
  • 道家 孝幸, 岡村 健司, 廣瀬 聰明, 芝山 雄二, 杉 憲, 水島 衣美
    2016 年 40 巻 3 号 p. 942-946
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル 認証あり
     近年鏡視下腱板修復術(ARCR)は腱板断裂の一般的な治療法となっており,短中期では良好な臨床成績が報告されているが,長期成績についての報告は少ない.本研究の目的はARCRの長期臨床成績を調査することである.対象は腱板断裂に対しARCRを施行し10年以上経過した252肩で,調査項目は,Shoulder36,JOA score,ASES score,UCLA scoreによる臨床成績の評価と,単純X線とMRIによる画像評価である.調査可能であった症例は107例116肩で,追跡率は46%であった.Shoulder36平均3.6点,JOA score 91点,UCLA score32点,ASES score90点であり,再断裂率は42%であった.本研究では再断裂率は高いものの,多くの症例で良好な成績が得られ,ARCRは長期にわたり良好な臨床成績が得られていた.
  • 中島 基成, 黒河内 和俊, 與田 正樹, 山本 隆一郎, 高橋 成夫
    2016 年 40 巻 3 号 p. 947-950
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル 認証あり
     腱板断裂患者の肩関節3DCTを使用し,骨棘の形態と腱板断裂サイズの関連や骨棘の形態的特徴について調査した.関節鏡視下腱板修復術を施行した70例70肩(男性45例,女性25例)を対象とし,全例術前に患側のCT撮影を行い,3D像を再構成した.術中鏡視にて腱板の断裂サイズの計測及び骨棘の形態をCofield分類を用いておこなった.骨棘下面の凹凸を調べるためにCTの冠状断および矢状断で,骨棘下面中央部の形状を調べた.肩峰骨棘を前方型・前側方型・内側型に分類し,症例数はそれぞれ17例,13例,40例であった.前方型・前側方型を合わせた群より内側型において有意に大断裂~広範囲断裂の割合増加,断裂面積の増加がみられた(p=0.0016).内側型の骨棘部の凹凸は全例中央部に陥凹がみられた.肩峰下面に骨棘の膨隆をみる内側型では上腕骨頭に沿う形で骨棘自体に陥凹がみられ上腕骨頭の肩峰下インピンジメントによる影響が示唆された.
  • 伊藤 陽一, 間中 智哉, 市川 耕一, 平川 義弘, 松田 淑伸, 清水 勇人, 中村 博亮
    2016 年 40 巻 3 号 p. 951-954
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル 認証あり
     広範囲腱板断裂例におけるARCR後の術後成績は必ずしも優れていない.我々は近年開発されたArthro TunnelerTMを用いた骨孔式ARCRを,広範囲腱板断裂例に対して施行してきた.しかし同術式時に,大結節外側の骨孔亀裂による皮質骨損傷とL字型骨孔の変形による海綿骨損傷の問題を経験した.これらの解決目的に,外側骨孔にlateral protect implantが介在するInterposed Trans-Osseous法(ITO法)を考案し,その有用性を検討した.対象は従来法28肩(従来群)とITO法33肩(ITO群).手術時の骨孔亀裂割合は従来群の46%に対し,ITO群では9%と有意に減少した.腱板再断裂率は,従来群で35.7%,ITO群で21.2%であり,減少傾向を認めた.JOAスコアは両群ともに術後有意な改善を認めた.広範囲腱板断裂例に対するITO法は,有効な治療法であると判断できた.
  • 新福 栄治, 内山 善康, 繁田 明義, 大見 博子, 橋本 紘行, 持田 讓治
    2016 年 40 巻 3 号 p. 955-958
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル 認証あり
     一次修復が可能であった(外転20度で棘上筋腱がoriginal positionに縫合できるもの)広範囲腱板断裂に対し直視下suture bridging法(以下O群)と鏡視下dual-row法(以下A群)で腱板修復術を行い,その治療成績について比較検討した.広範囲腱板断裂に対し一次修復が可能であった31例(O群21例,A群10例)を対象とした.手術時平均年齢はO群64.3±7.3歳, A群66.2±4.7(SD)歳であり,経過観察期間は12ヶ月から36ヶ月(平均15.5ヶ月)であった.検討項目は術後1年時のMRIによる再断裂率と,術前後のJOA score, Constant score, 外転筋力, 術前の棘上筋,棘下筋の筋萎縮をGoutallierの報告に準じ両群間で評価した.再断裂率はO群23.8%,A群20%であった.JOA scoreは術前後でO群60.7点から89.2点に改善し,A群62.2点から92.5点と改善していた.Constant scoreは術前後でO群41.3点から80.1点に改善し,A群で45点から86.1点に改善した.術後外転筋力はO群80.2N, A群67.2NでありO群で高かった.MRIでの脂肪変性の評価では,両群共に再断裂症例は,棘下筋または棘下筋のstage3以上の症例が多かった.
  • 松浦 健司, 橋本 祐介, 須川 敬
    2016 年 40 巻 3 号 p. 959-964
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル 認証あり
     鏡視下Surface-holding法(SH法)の術式を紹介し,Dual-Row法(DR法)との術後成績を比較検討した.
     鏡視下腱板修復術を行った87肩(SH法32肩,DR法55肩)を対象とした.それぞれの方法で棘上筋~棘下筋断裂前後径20mm未満(S群),20mm以上(L群)に分け,術前・後のJOA scoreと術後6ヶ月に行ったMRIで再断裂の有無を評価した.
     術後JOA scoreは術前に比し,すべての群で有意に改善した(SH法S群65.7点→89.6点,L群65.6点→85.8点,DR法S群60.8点→89.0点,L群61.5点→85.8点).術後再断裂と考えられるtype IV以上はSH法S群13.6%,L群20.0%,DR法S群14.3%,L群53.8% であった.
     鏡視下腱板修復術の臨床成績は良好であった.鏡視下SH法は再断裂を少なくする有用な腱板修復方法の一つであると考えられた.
  • 松浦 健司, 橋本 祐介, 中井 秀和, 須川 敬
    2016 年 40 巻 3 号 p. 965-968
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル 認証あり
     大・広範囲腱板断裂に対する鏡視下Surface-holding法(SH法)でmedialization手技と術後の固定期間延長が治療成績に及ぼす影響を検討した.
     鏡視下SH法を行った45肩をSSP~ISP/TM断裂前後径20mm以上で従来の固定期間(6週)のEarly群16肩,medializationを行い,固定期間を8週に延長したLate群29肩に分け,術前と術後最終観察時のJOA scoreと術後1年以降に行ったMRIで再断裂の有無を評価した.
     術後JOA scoreは術前に比し,両群とも有意に改善していた(Early群;65.3→89.1点,Late群;62.6→88.3点).再断裂率はEarly群31.3%に対してLate群は10.3%と減少したが有意差はなく,typeⅢ以上でみるとEarly群56.3%からLate群 17.2%と有意に減少した.
     鏡視下SH法で手術手技と後療法を工夫し,修復腱板のqualityは改善した.
  • 福井 隆史, 船越 忠直, 瓜田 淳, 亀田 裕亮, 岩崎 倫政
    2016 年 40 巻 3 号 p. 969-972
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル 認証あり
     我々は大広範囲腱板断裂に対し腱縫合時過緊張にならないよう鏡視下腱板修復術(surface-holding法)を施行している.本研究では一次修復可能であった大広範囲腱板断裂に対する本法の短期成績及び,成績不良因子について検討した.対象は大広範囲腱板断裂を認めた30肩(男性17肩,女性13肩)とした.手術時平均年齢は66.6歳,平均経過観察期間は22.5ヶ月であった.術前後のJOAスコア,可動域,脂肪浸潤,cuff integrityを評価した.大断裂18肩,広範囲断裂12肩であった.JOA スコアは術前平均61.0点から最終経過観察時平均86.0点と有意に改善した.術後再断裂は7肩(23.3%)で認めた.再断裂率と年齢,断裂サイズには相関を認めなかったが,脂肪浸潤には相関を認めた.
     本法の術後成績及び再断裂率は過去の報告と比べても比較的良好であったが,なお23.3%に再断裂を認めた.術前脂肪浸潤進行例では腱移行を含めた他の術式への変更を検討すべき可能性が示唆された.
  • 木村 重治, 堀田 知伸
    2016 年 40 巻 3 号 p. 973-975
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル 認証あり
    目的:我々は腱板をDAFF法でfootprintの内側に縫着し,bone marrow ventsを追加することで(Modified Crimson Duvet法),88%の症例で腱板がfootprint外側まで再生してくることを報告した.本研究の目的はMRIにて認めた再生腱板の機能解析である.
    方法:腱板をfootprint外側に縫着でき,再断裂しなかった60肩をL群とし,腱板の張力が強く腱板をfootprintの内側に縫着し,術後6か月のMRIにて腱板伸長を認めた20肩をM群として,術前と術後6か月のJOAスコアを比較した.
    結果:術後6か月のJOAスコアはL群93.9点,M群93.5点で両群間に有意差は無かった.
    考察:再生腱板例も外側縫着群と同様のJOAスコアが得られた。Modified Crimson Duvet法によりMRIにて認めた再生腱板も機能し,真の腱板である可能性が示唆された.
  • 入江 徹, 三好 直樹, 研谷 智, 伊藤 浩
    2016 年 40 巻 3 号 p. 1120-1123
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/06/20
    ジャーナル 認証あり
    関節症を伴う修復不能な肩腱板広範囲断裂に対するCTA型人工骨頭置換術の治療成績を検討した.2007年より2013年まで12か月以上経過観察できた8例10肩を対象とした.年齢は62~85(平均73.4)歳,男性1例女性7例であった.術前後のJOAスコア,疼痛項目,屈曲/外旋可動域の変化,合併症について後ろ向きに調査した.術後経過観察期間は12~96(平均55)か月であった.JOAスコアは術前48.3点が術後68.0点へ,JOAスコアの疼痛項目は術前8.5点が術後21.0点へ,有意に改善した.可動域は屈曲が術前74.0度から術後100.5度,外旋が術前6.5度から術後10.0度となり,有意な差はなかった.合併症はなかった.本術式は可動域の改善に限界はあるが,腱板再建術やリバース型人工関節を享受できない症例に対する第3の選択枝と成り得ると考えた.
  • 坂倉 健吾, 佐々木 茂, 市村 正一
    2016 年 40 巻 3 号 p. 976-978
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル 認証あり
     肩腱板損傷に対するMini-open法(以下MO)と鏡視下腱板修復術(以下AR)の治療成績を比較検討した.対象は術後1年以上経過した91肩でMO群は35肩,AR群は56肩であった.JOAスコアはMO群で術前65.0±9.6が術後93.0±6.3に改善し,再断裂を20%に認めた.AR群では術前65.9±7.9が術後94.0±5.8に改善し,再断裂を21%に認めた.両群とも合併症は認めなかった.両群間の治療成績と再断裂率に有意差はなかった.ARを開始した初期の症例や断裂が大きい症例でMOへ移行する事が多かった.諸家の報告によると両群の治療成績には有意差がないとする報告も多く,術中判断でMOに移行する事も有用と考えた.MOとAR共に術後JOAスコアの改善を認めたが,両群間で明らかな有意差は認めなかった.
  • 畑 幸彦, 石垣 範雄, 小林 博一
    2016 年 40 巻 3 号 p. 979-982
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル 認証あり
     肩甲下筋腱断裂に対するLHBアンカーリング法の特徴を明らかにする目的で術後長期成績を調査した.術後10年以上を経過したlarge tear以上の症例(follow-up rate:78.5%)のうち,LHBアンカーリング法を行った27肩(L群)とそれ以外の51肩(対照群)の2群間で比較した.病歴と断裂サイズ,術前の肩関節機能は2群間で有意差がなかった.術後10年の外旋筋力はL群が対照群より低下していた.術後10年のUCLA scoreは諸家の報告と比較して遜色はなかったが,L群が対照群より低かった.cuff integrityは,両群とも術後10年が術前より有意に改善していたが,術後10年ではL群が対照群より回復が有意に劣っていた.脂肪浸潤は,両群とも術後10年が術前より有意に悪化しており,術後10年ではL群が対照群より有意に悪化していた.LHBアンカーリング法施行時には後方腱板の修復をもっと広範囲に行うことが重要であると思われた.
  • 二階堂 亮平
    2016 年 40 巻 3 号 p. 983-986
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル 認証あり
     肩甲下筋腱断裂を伴った腱板断裂に対する鏡視下腱板修復術の治療成績を検討した.対象は術後6ヶ月以上経過観察し得た肩甲下筋腱断裂(SSC)を伴った腱板断裂の49肩であった.平均年齢67.3±11.6歳で,術後平均経過観察期間は12.4±5.2ヶ月であった.永澤分類によるSSCの断裂形態はType1が25肩,Type2は8肩,Type3は11肩,Type4は5肩であった.50%未満のLHB部分断裂は12肩,50%以上の部分断裂は5肩,完全断裂4肩で,LHB断裂非合併例は28肩であった.SSC断裂を伴った49肩の平均JOAスコアは術前64.6±10.8から術後95.9±6.2に有意に改善した.本研究においてSSC断裂合併例は全体のおよそ2/3を占め,SSCとLHBの処置は重要と考えた.SSC断裂合併した腱板断裂に対する鏡視下修復術の臨床成績は良好であった.
  • 吉村 英哉, 二村 昭元, 望月 智之
    2016 年 40 巻 3 号 p. 987-991
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル 認証あり
     肩甲下筋腱の最頭側部が上腕二頭筋長頭腱(LHB)の安定性に寄与しており,我々はこれを小結節上面に縫着する解剖学的修復を行いLHBは損傷の程度にかかわらず全例で温存した.今回その治療成績を報告する.
     対象は2009年から2011年に腱板一次修復が可能であった115例である.肩甲下筋腱最頭側部およびLHB病変の評価を行った.肩甲下筋腱断裂を認めた48例に解剖学的修復を行い全例でLHBを温存した.治療成績については,関節可動域,JOAスコア,MRI所見,Speed test,疼痛VASについて検討した.
     LHB病変に関しては肩甲下筋腱断裂の大きさと関連があった.術後成績や術後疼痛の発現はLHBの損傷,不安定性の程度には関連がなかった.
     肩甲下筋腱最頭側部は肩関節前方の重要な支持組織でありLHBの安定性を考慮するとき解剖学的に修復する必要がある.今回の検討において同部の解剖学的修復によりLHBの損傷や不安定性の程度に関係なく良好な成績が得られた.
  • 松尾 洋昭, 梶山 史郎, 尾﨑 誠
    2016 年 40 巻 3 号 p. 992-995
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル 認証あり
     腱板修復術前後における上腕二頭筋長頭腱(LHB)に対する臨床検査(結節間溝(BG)圧痛の有無,Speed Test(ST),Yergason Test(YT))の結果を術前後で比較検討した.対象は鏡視下腱板修復術後,1年以上経過し,手術時にLHB完全断裂を合併していなかった41例41肩,手術時年齢平均63.3歳(38-80歳)である.鏡視によるLHB病変の有無,存在したLHB病変に対して腱固定・切離を行ったものと,デブリドマンのみ行ったものについて,術前と最終観察時でのBG圧痛,ST,YTを比較検討した.LHB病変を認めないものが19例あり,腱固定・切離を行ったものが17例,デブリドマンのみ行ったものが5例であった.腱固定・切離を行った17例の最終観察時の ST,YTはすべて陰性であった.LHB病変の診断におけるBG圧痛,ST,YTの信頼度は低かったが,LHBに対して固定・切離を行った症例で術後の最終観察時にST,YTが全例陰性であったことは,この二つがBG内のLHB病変を反映する有用な検査であることが示唆された.
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