抄録
外傷性肩関節前方脱臼に対する鏡視下バンカート修復術(ABR)の術後成績を調査し,その問題点を検討した.2005年から2014年までにABRを行い,術後12ヶ月以上観察できた74肩を対象とした.年齢は平均27.6歳.経過観察期間は平均20.6ヶ月,追加手術は腱板疎部縫縮術,SLAP修復術,関節包断裂修復術であった.臨床成績を術前術後のJSS-SIS,Rowe scoreで評価し,術後関節可動域を自動前方挙上,他動下垂位外旋(ER1),90°外転位外旋(ER2),結帯(ADD)で評価した.再脱臼の有無を調査した.JSS-SIS,Rowe scoreは術前と比べ術後に有意に改善した.術後日常生活に支障をきたす可動域制限はなかった.術後健側と比較して患側のER1,ER2,ADDが低下していた.追加手術の有無で可動域に差はなかった.再脱臼は4肩に認め,全例ラグビーでの再受傷であった.コリジョンアスリート例では再受傷の危険性があり,鏡視下手術を行う際にはABRに加え,Remplissage等のより強固な補強術が必要と思われた.