2017 年 41 巻 2 号 p. 393-396
本研究の目的は,予後予測の指標として用いられる棘上筋の脂肪浸潤と筋萎縮を,それぞれfat fraction(ff)と棘上窩占拠率(占拠率)で客観的に評価し,その関連を検討することである.対象は,腱板非断裂群34肩と断裂群96肩の計126例130肩であった.脂肪浸潤の評価は,Dixon法を撮像し,肩甲棘が肩甲体部につくスライスにて計測した.占拠率は,Zanettiらの報告に準じ,T2強調像で計測した.Ffと占拠率との関連を断裂の有無および性別で検討し,非断裂群では相関を認めず,断裂群で中等度の負の相関(r=-0.46,p<0.01)を認めた.また,断裂群の女性でr=-0.58(p<0.01)と中等度の負の相関を認めた.修復術適応の決定や保存治療で経過を見る場合,定期的な画像検査による観察を考慮し,男性では筋萎縮のみ進行する症例が存在することに留意する必要があると考える.