肩関節
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脱臼
外傷性肩関節前方不安定症にみられる関節症性変化のCTによる評価
廣瀨 毅人中川 滋人
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ジャーナル 認証あり

2017 年 41 巻 2 号 p. 406-410

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抄録

 本研究の目的は外傷性前方不安定肩における関節症性変化をCTで評価し,その発生頻度と特徴を明らかにすることである.手術歴の無い外傷性不安定肩261例306肩に対しCT検査を行った.冠状断・水平断・斜位矢状断・3DCTで肩甲骨関節窩と上腕骨頭の骨棘を評価した.また,骨棘形成に影響すると考えられる各種因子を検討した.全306肩中93肩(30.4%)に骨棘形成を認めた.片側罹患216肩に限ると,関節窩骨棘は健側37肩に対し患側59肩に認めた.また上腕骨頭では健側12肩に対し患側35肩に骨棘を認めた.骨棘有り群は無し群と比較し関節窩と上腕骨頭のいずれであっても,放置期間が長く,脱臼回数が多く,関節窩骨欠損率が高く,初回受傷時およびCT検査時年齢も高い傾向があり,両群間で統計学的有意差を認めた.外傷性前方不安定肩のCT評価で約30%に骨棘形成を認めた.放置期間,脱臼・亜脱臼回数,関節窩骨欠損率は骨棘形成と有意に関連する因子と考えられた.

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© 2017 日本肩関節学会
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