2017 年 41 巻 3 号 p. 659-662
腱板大・広範囲断裂において,IDEAL法を用いて術前の腱板筋脂肪変性の定量的評価を行い,術前腱板筋脂肪含有率と術後成績の関連を検討した.対象は,術前にIDEAL法を施行後,鏡視下腱板修復術を施行され,術後12か月以上経過観察が可能であった大・広範囲断裂30例である.IDEAL法によって算出された各腱板筋の術前の脂肪含有率と再断裂率,JOA scoreを検討した.また,棘上筋と棘下筋に関してはROC曲線を用い再断裂の術前脂肪含有率のカットオフ値を算出した.再断裂例では棘上筋筋実質部と棘下筋でのみ術前脂肪含有率は有意に高値を示した.棘上筋筋実質部は再断裂のカットオフ値は41.8%,棘下筋では52.5%であった.術前脂肪含有率とJOA scoreの相関を検討すると,棘下筋では相関係数-0.46と負の相関を認め,その他の筋肉では相関を認められなかった.本検討の結果からIDEAL法での棘下筋の術前脂肪含有率の高値が大・広範囲断裂における鏡視下腱板修復術の予後不良因子と考えられた.