抄録
本研究の目的は鏡視下腱板修復術(ARCR)後における複合性局所疼痛症候群type1(CRPS)の発症頻度と発症因子を調査する事である.ARCRを施行し術後1年以上経過観察可能であった160肩で,術後に厚生労働省が発表したCRPS診断基準を満たす症例を対象としCRPS群とした.調査項目は,患者背景,腱板断裂サイズ,術前後のJOAスコア,術後患肢固定期間とした.また術前の夜間痛の有無と,夜間痛のある症例に対して行ったステロイド注射の回数も調査した.これらを,術後にCRPSを発症しなかった症例をコントロール群とし比較検討した.さらにCRPS群における症状の内訳と男女間における発症時期に関しても調査した.CRPS群は13.8%で平均年齢62.1歳,コントロール群は86.2%で平均年齢66.0歳でありCRPS群で有意に若かった.固定期間に関しては,術後3日目から他動可動域訓練を開始した群で有意にCRPSの発症が少なかった.ARCR後におけるCRPSの発症因子は若年者と術後長期固定である可能性が示唆された.