2018 年 42 巻 2 号 p. 522-525
本研究の目的は一次修復を行った大・広範囲断裂の術後のcuff integrity を各腱ごとに評価し,脂肪浸潤の程度別に再断裂率を評価することと断裂腱数別の臨床成績を評価すること.
2010年10月から2014年7月までに鏡視下腱板修復術を行った大・広範囲断裂のうち2年以上経過観察可能であった78例78肩である(男37肩女41肩平均年齢66歳).各腱ごとの再断裂率を評価し脂肪浸潤との関連を調査した.断裂腱数別に臨床成績を比較した.
再断裂腱数0は48肩,1は19肩,2は11肩,3はなくすべてを含めた再断裂率は38%であった.再断裂率は棘上筋腱27腱34%棘下筋腱13腱20%肩甲下筋腱1腱2%であった.術後成績では再断裂2腱は再断裂なし,1腱と有意差があった.Goutallier stageとの関係では,棘上筋はstage上昇とともに再断裂率も有意に上昇し棘下筋はその傾向があったが,肩甲下筋は関連はなかった.
大・広範囲断裂の治療成績は再断裂腱数が2腱以上になると有意に臨床成績が悪かった.