2018 年 42 巻 2 号 p. 555-558
解剖学的人工肩関節置換術(以下,ATSA)は,解剖学的な関節再建手術であるが,疼痛・可動域において機能的改善不良例が存在する.今回,我々はATSAにおけるインプラント設置位置と術後成績の相関を調べた.対象はATSA施行後5年以上経過観察が可能だった23例である(男性8例女性15例).手術時平均年齢は69歳.原因疾患は一次性12例,二次性6例,RA5例だった.術後成績はJOAスコアを用いて評価した.また,レントゲンによってインプラント設置位置における各項目を計測しJOA scoreとの相関の有無を評価した.JOA scoreは術前平均52.3点から術後85.9点に改善した.関節窩コンポーネント後方傾斜角度,humeral offset値において術後成績との相関を認めた.Projection値と術後成績の相関はなかった.以上より,インプラントの設置不良は腱板機能の不均衡に繋がる可能性があり,良好な術後成績獲得のためにはインプラントを正確に設置することが重要となる.