抄録
肩甲帯重複損傷に合併した肩甲上神経麻痺,腋窩神経麻痺に対し,神経移行術を行った1例を経験したので報告する.18歳 男性,400ccバイクで走行中に転倒受傷.CT検査にて左肩甲骨外科頚骨折,左肩峰骨折,左肩鎖関節脱臼を認めた.骨折に対する観血的整復固定術を施行後,左肩関節他動可動域は徐々に改善を認めたが,術後4か月で自動屈曲自動外転は不可能であった.針筋電図検査にて肩甲上神経麻痺,腋窩神経麻痺と診断した.改善兆候なく術後8か月で神経移行術を行った.橈骨神経上腕三頭筋枝を腋窩神経に,肩甲背神経を肩甲上神経に神経移行を行った.術後1年で自動屈曲160° 自動外転150° に改善した.肩甲上神経麻痺,腋窩神経麻痺に対し神経移行術は有用な選択肢と思われた.