肩関節
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44 巻, 2 号
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基礎研究
  • 幸田 仁志, 甲斐 義浩, 来田 宣幸, 森原 徹
    2020 年44 巻2 号 p. 261-264
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/27
    ジャーナル 認証あり
     本研究では,肩関節反復挙上運動の持続性に影響を及ぼす要因について検討した.健常成人男性17名の左右34肢を対象とした.測定項目は,反復挙上回数,最大外転筋力,三角筋と棘上筋の筋厚,および筋弾性変化量,体重,骨格筋量とした.統計解析には,ピアソンの相関係数を用い,反復挙上回数と他項目との関係を分析した.また重回帰分析を用い,反復挙上回数に影響する要因を分析した.反復挙上回数は,棘上筋の筋厚との間に有意な相関を認めた(r = 0.42, p < 0.05).また重回帰分析より,反復拳上回数に影響する要因は,棘上筋の筋厚(β = 0.64),棘上筋の弾性変化量(β = - 0.36),体重(β = - 0.46)であった(R2 = 0.37, p < 0.05).棘上筋が厚く,運動後に筋弾性が減少し,また体重が軽い者ほど挙上運動の持続性が高いことが示された.
診察 • 診断法
  • 藏谷 幸祐, 田中 誠人, 林田 賢治
    2020 年44 巻2 号 p. 265-268
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/27
    ジャーナル 認証あり
     超音波ガイド下肩関節後方穿刺による関節内注射後にMRAを施行し,その正確性について検討した.対象は,肩関節前方不安定症の精査のためMRAを施行した,150例,179肩(男性160肩,女性19肩,平均年齢20.5歳)である.関節内注射は全例,同一医師にて施行した.超音波画像にて肩関節後方の上腕骨頭と関節窩を描出したのち,その間隙に23Gカテラン針を交差法にて穿刺し,1%リドカイン塩酸塩注射液12mLを注入した.その後撮像したMRI T2強調像の水平断像にて関節内造影および関節外への漏洩状態を,完全注入:関節外への漏洩なし,一部漏洩:関節内造影良好だが一部回旋筋腱板外に漏洩,完全漏洩:ほぼ関節外へ漏洩し関節内病変の同定困難,とし,注射施行医師とは別の医師2名で評価した.結果は,完全注入:163肩(91.0%),一部漏洩:10肩(5.6%),完全漏洩:6肩(3.4%)であった.超音波ガイド下肩関節後方穿刺は正確かつ簡便な関節内注射方法と考えられた.
  • 森原 徹, 松井 知之, 平本 真知子, 東 善一, 木田 圭重, 瀬尾 和弥, 来田 宣幸
    2020 年44 巻2 号 p. 269-275
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/27
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    投球障害は,繰り返し行われる投球動作によって生じる.特に不良な投球動作は,肩関節障害をきたす要因の1つである.投球障害選手の治療やリハビリテーションを行うには,投球動作からどのようなメカニカルストレスが肩関節に生じているのかを考える必要がある.しかし,診察場面で,詳細な投球動作を分析することは不可能である.そのため当院では,まずワインドアップ期,アーリーコッキング期,レイトコッキング~アクセラレーション期,フォロースルー期に対応した簡易な身体機能評価を行っている.その結果を参考にしながら,診察場面でもシャドーピッチングのチェックを行い,身体機能評価の結果と照らし合わせる.本稿では,この簡易な身体機能評価法を紹介し,投球動作との関係性を考慮した具体的な診察室でのチェックポイントについて述べる.
脱臼
  • 古川 龍平, 木田 圭重, 森原 徹, 祐成 毅, 大西 興洋, 高辻 謙太
    2020 年44 巻2 号 p. 276-279
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/27
    ジャーナル 認証あり
     鏡視下Bankart-Bristow変法の術後骨癒合の状態を調査した.対象は鏡視下Bankart-Bristow変法を施行した53例55肩で,手術時平均年齢は20.5(15-43)歳であった.術後CT画像で骨癒合の評価を行い,患者因子としてBMIと全身弛緩性の有無,術前画像で関節窩の骨欠損,骨性バンカートの有無,術後画像で烏口突起骨片長,関節窩長,スクリューの貫通の有無について評価し,骨癒合群と骨癒合不良群で比較検討した.骨癒合が39肩,線維性癒合が13肩,転位が3肩で骨癒合率は70.9%であった.烏口突起長は骨癒合群で8.5 ± 2.3(SD)mm,骨癒合不良群で10.5 ± 2.6(SD)mm,烏口突起骨片と関節窩長の比率は骨癒合群で30.1 ± 3.1(SD)%,骨癒合不良群で34.2 ± 6.0(SD)%,スクリューの貫通について,骨癒合群で貫通ありは38肩,貫通なしは1肩,骨癒合不良群で貫通ありは13肩,貫通なしは3肩と2群間に有意差を認めた.骨癒合には適切な烏口突起骨片の長さ,関節窩後壁を貫通するスクリュー長の選択が重要である.
  • 山﨑 博範, 藤田 耕司
    2020 年44 巻2 号 p. 280-283
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/27
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     当院における肩鎖関節脱臼に対する鏡視下烏口鎖骨靭帯再建および肩鎖靭帯再建術の短期成績を報告する.2017年4月以降Rockwood分類Type3型以上の肩鎖関節脱臼に対してDog Bone Buttonとsuture button tapeを用いた鏡視下烏口鎖骨靭帯再建とsuture anchorを用いた肩鎖靭帯再建を施行し,術後1年以上経過観察可能であった14例について調査した.男性11例,女性3例,平均年齢は39歳,Rockwood分類はType3が2例,Type5が12例で,術後平均経過観察期間は16か月であった.最終経過観察時のJOAscore,JSS-ACJscoreとX線評価を行った.術後JOAscoreは94.3点,JSS-ACJscoreは93.9点であった.術後X線評価については,Type3はexcellent 2例,Type5ではexcellent 6例,good 5例,fair 1例であった.肩鎖関節脱臼に対する鏡視下烏口鎖骨靭帯再建および肩鎖靭帯再建術の短期成績は比較的良好であったが,肩鎖靭帯再建方法等に関しては今後も検討が必要と思われる.
  • 山本 祐樹, 三幡 輝久, 長谷川 彰彦, 大植 睦, 根尾 昌志
    2020 年44 巻2 号 p. 284-288
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/27
    ジャーナル 認証あり
     胸鎖関節脱臼は肩甲帯損傷全体の約3%以下と比較的稀な疾患である.胸鎖関節脱臼の手術適応に関して明確な基準はないが,活動性の高い患者が保存療法を行っても疼痛・不安定性が持続する場合や後方脱臼の場合には外科的治療を考慮すべきであると報告されている.今回我々は胸鎖関節脱臼2例に対して長掌筋腱を用いた靭帯再建術を行い良好な治療成績を得たため報告する.
  • 山田 均志, 永井 英, 鈴木 一秀
    2020 年44 巻2 号 p. 289-293
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/27
    ジャーナル 認証あり
     鏡視下Bankart法(以下ABR法)と鏡視下Bankart&Bristow変法(以下ASBB法)の術後肘屈曲筋力を経時的に測定し,術後筋力の回復に差が生じるか調査し肘屈曲筋力の観点からASBB法の術後競技復帰時期の妥当性を検証することを目的とした.対象は術前と術後3-6ヵ月まで経時的に肘屈曲筋力を計測できたABR法15例,ASBB法40例である.徒手筋力計にて等尺性肘屈曲筋力を計測し,ABR法とASBB法各々の術前比と健側比を算出し比較検討を行った.術前比では術後3ヵ月,健側比では術後3-6ヵ月の期間においてASBB法はABR法と比較し有意な低下を認めた.ASBB法の健側比は術後4ヵ月で80%以上,術後5ヵ月で90%以上の回復が得られ,術後4-5ヵ月時点で競技復帰可能な筋力であると考えられるが,術後5ヵ月で術前や健側レベルまで回復していないため,肘屈曲筋力を最大限必要とするプレーやスキル,スポーツ種目によっては注意を要すると考える.
  • 藤澤 基之, 原 正文
    2020 年44 巻2 号 p. 294-296
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/27
    ジャーナル 認証あり
     当院では,コリジョンスポーツなど強い外力がかかるアスリートの反復性肩関節脱臼に対し,鏡視下Bankart修復術にHill-Sachs remplissage法を追加している.2015年以降,本術式を行った症例のうち術後1年以上経過した18例を対象とし,その術後成績などを調査した.種目は,ラグビー5例,柔道5例,その他8例.手術時年齢は,平均18.1歳.術後1年での可動域は,下垂位外旋が,手術側平均41.1° で,非手術側に比し約11° の制限が認められた.肩学会スポーツ能力評価法では,術後1年で平均93.5点に回復し,膝を治療中の1例以外の 17例(94%)が,スポーツ復帰を果たしていた.術後1年以上の経過観察で,再脱臼は認めなかった.Remplissage法を追加した鏡視下Bankart修復術は合併症が少なく,術後1年では軽度の外旋可動域の制限を伴うが,問題なくスポーツ活動に復帰していた.
骨折
  • 繁田 明義, 内山 善康, 新福 栄治, 渡辺 雅彦
    2020 年44 巻2 号 p. 297-301
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/27
    ジャーナル 認証あり
     今回我々はNCB ® Proximal Humerus Plating System(NCB ® -PH)とMODERProximal Humeral Plate(MODE)を用いて骨接合術を行った上腕骨近位端骨折の術後成績を評価した.1年以上の経過観察をしえた48例48肩(男16例,女32例,平均年齢64.7歳)を対象とし,NCB ® -PH(N)群21例とMODE(M)群27例の術後成績を比較検討した.挙上可動域(p=0.038),JOA score(p=0.01)はMODEが有意に高値で,頚体角の矯正損失(p=0.036)は有意に低値であった.内側支持を1本の多軸スクリューが担うNCB ® -PHに比べ最大で3本の単軸スクリューが挿入可能なMODEは矯正損失が少なく,臨床成績も優れていた.
  • 落合 信靖, 橋本 瑛子, 秋本 浩二, 野島 大輔, 梶原 大輔, 嶋田 洋平
    2020 年44 巻2 号 p. 302-305
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/27
    ジャーナル 認証あり
     近年上腕骨近位端骨折に対するリバース型人工肩関節置換術(以下RSA)の良好な術後成績が報告されている.一方上腕骨近位端骨折に対し術後合併症が生じた骨折続発症では治療困難となる.そこで本研究の目的は骨折続発症に対する RSA術後成績を検討することである.対象は骨折続発症に対しRSAを施行し術後1年以上経過観察可能であった35例である.検討項目としてJOAスコア,UCLAスコア,Constantスコア,自動可動域として前方挙上,外旋,内旋とし術前後で評価,比較検討した.また,RSA術前手術既往なし群と既往あり群で比較検討した.骨折続発症全分類でRSA術後臨床成績,可動域は内旋を除き有意に改善していた.また,手術既往あり群となし群の比較では既往なし群の方が有意に良好な結果だった.本検討の結果,骨折続発症に対するRSAは有用と考えられたが,手術後に生じた骨折続発症に対するRSAは劣る傾向にあり,再手術例に対しては結節の保護等の工夫が必要と考えられた.
  • 上甲 厳雄, 内山 茂晴, 鴨居 史樹
    2020 年44 巻2 号 p. 306-309
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/27
    ジャーナル 認証あり
     上腕骨近位部骨折(PHFx)は代表的な脆弱性骨折であるが,大腿骨近位部骨折に比べ頻度は少なく,骨密度などの骨粗鬆症検査・治療に関してのデータは少ない.今回,われわれは直近2年間,当院で治療したPHFx患者について骨粗鬆症検査や治療の有無,再骨折リスク因子を調査し,大腿骨頚部骨折患者データと比較検討した.PHFx患者に対する骨粗鬆症検査・治療率は大腿骨頚部骨折より少なかった.PHFx患者においても大腿骨頚部骨折患者同様に,低骨密度,脆弱性骨折既往あり,低ビタミンDなど,2次骨折のハイリスクであるため骨粗鬆症治療による骨折予防を積極的に行うべきである.
  • 上原 弘久, 守屋 秀一, 鶴上 浩規, 波多江 文俊, 最上 敦彦
    2020 年44 巻2 号 p. 310-313
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/27
    ジャーナル 認証あり
     スポーツ選手の鎖骨骨幹部骨折に対してプレートを用いて行った観血的骨接合術の成績を前方設置群(前方群)と上方設置群(上方群)に分け比較し検討した.対象は15例(前方群6例,上方群9例)であった.検討項目は競技復帰までの期間,肩関節自動挙上が180度になるまでの期間,JSS Shoulder Sports Score,術後の疼痛・感覚障害,皮膚トラブルの有無とした.競技復帰までの平均期間は,前方群で1.3 ± 0.4(SD)ヶ月・上方群で2.3 ± 0.8ヶ月であり前者で短期復帰可能であった(p=.011).自動挙上が180度になるまでの期間はそれぞれ1.6 ± 0.8,1.7 ± 0.9ヶ月,JSS Shoulder Sports Scoreはそれぞれ83.3 ± 5.6,81.5 ± 13.4点であった.術後の疼痛は両群とも2例ずつ,感覚障害は上方群で2例認めた.皮膚トラブルは上方群で3例認め,全例で抜釘術を施行した.スポーツ選手の鎖骨骨幹部骨折に対するプレート固定術において,プレートの前方設置は上方設置より早期の競技復帰が可能で術後皮膚トラブルによる抜釘が少ないため有用であると考えられる.
筋腱疾患
  • 日山 鐘浩, 吉村 英哉, 野呂瀬 美生, 近藤 伸平, 松村 恵津子, 望月 智之
    2020 年44 巻2 号 p. 314-318
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/27
    ジャーナル 認証あり
     2010年11月から2016年10月までに当科で一次修復不能な腱板広範囲断裂に対して鏡視下パッチ修復術を施行された70歳未満の26例(男性18例,女性8例)を対象とした.平均年齢は62.1歳,平均経過観察期間は32.1カ月であった.用いたgraftは大腿筋膜二重折16例,テフロンフェルトを大腿筋膜ではさんだhybridが8例,テフロン単独が2例であった.術前後のJOAスコア,屈曲,外転可動域は有意に改善を認めた.再断裂は6例(23%)に認めた.また,癒合群と再断裂群にて再断裂に影響を与える術前因子をロジスティック回帰分析にて検討すると,術前ER lag sign,小円筋の脂肪変性が挙げられた.予後不良因子のある症例を除けば鏡視下パッチ補強術は良好な成績が得られ,特に60歳未満の症例では成績が良かった.鏡視下パッチ補強術は,今後も一次修復不能な腱板断裂症例に対して選択枝の1つとなりえる.
  • 太田 悟, 駒井 理
    2020 年44 巻2 号 p. 319-323
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/27
    ジャーナル 認証あり
     術中フットプリントの内側化を行っても断端が届かない症例を一次修復不能例とし,70歳未満のSCR(上方関節包再建術)をA群,70歳以上のSCRをB群とし1年以上経過観察可能であった両群の術後成績について比較検討を行った.A群は18例(男性17例女性1例),B群は28例(男性12例女性16例)であった.検討項目としてJOAスコア,UCLAスコア,自動挙上角度,下垂外旋内旋角度,筋力,AHD(肩峰骨頭間距離)およびSCRの再建状況をMRIにて評価した.またA群について術前の仕事に復帰するまでの期間を調べた.最終観察時の自動挙上角度,下垂外旋角度,AHDはA群で有意な改善が見られた.MRI画像評価では術後1年でのグラフト断裂はA群が19例中1例5%に,B群は28例中8例29%に見られA群での有意な改善が見られた.
  • 埜口 博司
    2020 年44 巻2 号 p. 324-328
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/27
    ジャーナル 認証あり
     一次修復不能肩腱板断裂(iRCT)と思われる63肩(平均72.9歳)で,自動前方挙上角度に影響する因子を調べた.X線での脊椎最大後弯角(KTA)は自動前方挙上角度に正の相関を認め(CR=0.34,P=0.0064),年齢,性,GFDI,腱板断裂形態は相関しなかった. 自動前方挙上角度100° 以上可能群のKTAは平均33.6° で挙上不良群の26.6° より高かった(P=0.0049).挙上制限のある例はお辞儀をすると69%で100° 以上挙上可能となった.脊椎後弯の強い例では,上肢下垂した状態で既に脊椎後弯角度分だけ体幹に対して前方挙上角度がついており,inner muscle(腱板構成筋)の筋収縮が必要な初期角度をすぐ越えるため,iRCTがあっても三角筋などのouter muscleのみの働きで挙上可能な症例もあり,RSAの適応に脊椎矢状面アライメントも考慮するべきと提案する.
  • 梶山 史郎, 佐田 潔, 松尾 洋昭, 尾﨑 誠
    2020 年44 巻2 号 p. 329-333
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/27
    ジャーナル 認証あり
     腱板大・広範囲断裂に対する断裂形態に応じた鏡視下一次修復術の治療成績を検討した.術後1年以上経過した63例63肩を対象とした.男性51肩,女性12肩で手術時平均年齢は62.5(38-78)歳であった.断裂形態に応じ,suture bridge法38肩,double row 法7肩,上方single row+後方bridgeまたはdouble row法12肩,single row法6肩で修復した.術前後のJOAスコア,可動域を評価した.MRIは術前Goutallier分類による筋脂肪浸潤を,術後はSugaya分類によるcuff integrityを評価した.症例全体のJOAスコアは術前平均63.1点から術後平均91.2点に有意に改善したが,修復方法による有意差はなかった.再断裂率は15.9%で,修復方法間での有意差は認めなかったが,single row法で多い傾向であった(2肩33.3%).single row法でしか修復できない症例では,大腿筋膜移植,筋移行などの追加処置,年齢によってはリバース型人工肩関節の適応を検討する必要がある.
  • 木村 岳弘, 諸岡 正明
    2020 年44 巻2 号 p. 334-337
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/27
    ジャーナル 認証あり
     鏡視下に一次修復を行った3腱断裂34肩の治療成績を,上腕二頭筋長頭腱(LHB)病変の重症度によって比較検討した.LHB病変を,損傷なし及び軽度損傷の9肩(A群),高度損傷の14肩(B)群,高度変性及び完全断裂の11肩(C群)に分け,A群はLHBを温存し,B群はLHBを腱固定した.3群間で腱板断裂サイズ,脂肪浸潤,術前後のJOA score,術後MRI(菅谷分類)を比較した.結果,肩甲下筋腱の断裂サイズにのみ有意差を認め,A群では他の2群より有意に肩甲下筋腱の断裂サイズが小さかった.MRIにおける再断裂率は,A群では再断裂はなく,B群では棘上・棘下筋腱が7.1%,肩甲下筋腱が7.1%で,C群では棘上・棘下筋腱が27.3%,肩甲下筋肩が18.2%であり,3群間に有意差は認めなかった.LHB病変の重症度と再断裂との関連は認めなかった.
  • 佐藤 哲也, 中川 照彦, 鏑木 秀俊, 佐々木 研, 鈴木 志郎, 二村 昭元
    2020 年44 巻2 号 p. 338-341
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/27
    ジャーナル 認証あり
     一次修復不能な腱板断裂例では肩関節のaxial force coupleが破綻するため,著明な外旋機能障害を呈する.このような14症例にL'Episcopo変法を施行した.10例で鏡視下腱板部分修復,3例で鏡視下肩峰形成のみを同時に行った.1例は再手術例で筋腱移行のみを行った.手術時年齢は平均71歳.経過観察期間は平均5.1年.JOAスコアは術前57点から術後78点に改善.術前後の自動外旋は -20° から7° に改善.下垂位自動外旋が0° 以上獲得できたものは8例,horn blower's signは9例で改善.再手術としてRSAを2例に行った.L'Episcopo変法は肩のaxial force coupleを再構築することで外旋機能が回復し、臨床成績の改善に繋がる.一方でcoronal force coupleの再構築には限界がある.術前から上腕骨頭の前上方亜脱臼が強い症例にはRSAを検討する必要がある.
  • 魚水 麻里, 吉村 英哉, 松村 惠津子, 日山 鐘浩, 長谷川 翔一, 関 良太
    2020 年44 巻2 号 p. 342-345
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/27
    ジャーナル 認証あり
     腱板修復術中の腱板reparabilityが術前MRI所見と関連するか検討した.鏡視下腱板修復術で,断裂サイズが中断裂以上であった209症例を対象とした.術中にdelaminationが確認された症例において深層・浅層のreparabilityを評価した.また,術前MRI 矢状断像における深層の確認可否と,その位置を評価検討した.MRI矢状断像で腱板深層をretrospectiveに評価すると,腱板深層の前縁の位置に,reparabilityの良不良で有意な差を認めた.Reparability良好の症例では腱板深層前縁はより骨頭の前方の位置で確認された.また,腱板深層の断端の位置はBoileau分類stageIIIが最多だったが,深層のreparability良不良でstageの割合に差を認めた.腱板断裂のMRIで腱板深層の位置を評価することは,修復術中のreparability予測の一助になると考えられた.
  • 大石 隆幸
    2020 年44 巻2 号 p. 346-349
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/27
    ジャーナル 認証あり
     本研究の目的は,鏡視下腱板修復術(以下ARCR)施行症例におけるCritical shoulder angle(以下CSA)と術後成績の関係を明らかにすることである.ARCRを施行され,Suter-Henninger分類でA1,C1の術後単純X線肩関節正面像を得られた49例52肩(男性23例,女性26例,手術時平均年齢66.9歳)を対象とした.術後の単純X線肩関節正面像にてCSAを計測した.臨床成績として術後1年のJOA scoreおよびUCLA scoreを調査し,再断裂の有無を術後1年のMRIで評価した.平均CSAは再断裂あり群(8肩)で35.6 ± 3.4°(SD)であり,再断裂なし群(44肩)の32.8 ± 2.9°(SD)と比較し有意に大きかった(p = 0.016).CSA 37° 超の群で再断裂を5肩中3肩と有意に多く認めた(p = 0.022).35° 超,特に38° 超のCSAではARCR後の再断裂の危険性が高いと報告されている.本研究においても,再断裂群では有意にCSAが大きく,CSA 37° 超の群では再断裂例が有意に多い結果であり,大きなCSAとARCR後の再断裂との関連が示唆された.
  • 田中 誠人, 花井 洋人, 藏谷 幸祐, 小泉 宏太, 小谷 悠貴, 林田 賢治
    2020 年44 巻2 号 p. 350-353
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/27
    ジャーナル 認証あり
     Suture-bridge(SB)法は,関節鏡下腱板修復術(ARCR)において,初期固定力の高さに加え,縫合する回数が少なくて済む簡便さから主流となってきている.しかし,SB法では解剖学的な修復が困難な症例を経験したため,footprint(FP)外側縁にアンカーを追加し,断裂腱を整復した状態でSB法にて固定を行うtriple-row(TR)法を考案した.今回,SB法とTR法の術後再断裂を比較検討した.
     一次修復が可能で,術後6ヶ月以降にMRI撮影が可能であったSB法212肩(男127肩,女性85肩,手術時年齢64.8歳),TR法206肩(男111肩,女性95肩,手術時年齢66.3歳)を対象とした.再断裂はMRIにてSugaya分類で評価し,type別再断裂率の統計学的処理にはカイ2乗検定を用いた.
     SB法ではSugaya分類Type1+2,3,4,5が165肩(76.4%),24肩(11.3%),6肩(2.8%),20肩(9.4%), TR法ではそれぞれ170肩(82.5%),16肩(7.8%),12肩(5.8%),8肩(3.9%)であり,TR法ではSB法に比べてType5が有意に減少した.
     FP外側縁に断裂腱を整復してからSB法で固定するTR法により,大きな再断裂を減らすことができた.
  • 廣瀨 聰明, 岡村 健司, 芝山 雄二, 道家 孝幸, 杉 憲, 水島 衣美
    2020 年44 巻2 号 p. 354-358
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/27
    ジャーナル 認証あり
     スーチャーブリッジ法と言っても詳細な修復方法は術者によりさまざまである.今回,1)スーチャーテープを用いること,2)テープを腱板の筋内腱にかけること,3)内側knotは別のアンカーから出ているテープ同士をknotすること,4)腱板修復部及び修復腱板より外側の大結節上にbone marrow stimulationを行うこと,の改良を加える以前の群(A群)54肩と,加えた群(B群)73肩の術後2年時の臨床成績を比較した.
     JOA score総合はA群では術前平均62点から94点に,B群では62点から93点へと有意に改善した.再断裂はA群54肩中11肩(20%)に認め,断裂サイズ別では小断裂では再断裂を認めず,中断裂5肩(15%),大・広範囲断裂6肩(35%)に再断裂を認めた.一方,B群では73肩中9肩(12%)に再断裂を認め,断裂サイズ別では小断裂では再断裂を認めず,中断裂4肩(8%),大断裂5肩(29%)に再断裂を認めた.
  • 甲斐 義浩, 来田 宣幸, 山田 悠司, 幸田 仁志, 三浦 雄一郎, 福島 秀晃, 竹島 稔, 森原 徹
    2020 年44 巻2 号 p. 359-362
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/27
    ジャーナル 認証あり
     本研究では,剪断波エラストグラフィーを用いて,無症候性腱板断裂肩と正常肩における棘上筋および三角筋の組織弾性を比較検討した.地域在住高齢者136名を対象とした.問診,理学検査,超音波診断によって,無症候性腱板完全断裂と判断された12名(無症候性腱板断裂群)と,腱板断裂なしと判断された124名(正常肩群)に割り付けた.筋組織弾性の測定には,剪断波エラストグラフィーを用いて,棘上筋および三角筋の剪断波速度(m/s)を計測し,得られた剪断波速度の2乗の3倍をもって組織弾性値(kPa)を算出した.分析の結果,棘上筋の剪断波速度および組織弾性値は,正常肩群と比べて無症候性腱板断裂群で有意に低値を示した(p < 0.05).一方,三角筋では,正常肩群と無症候性腱板断裂群の間に有意な差は認められなかった.本研究の結果より,無症候性腱板完全断裂における棘上筋の弾性は,正常肩と比べて組織弾性値が有意に低下していること,三角筋では差がないことが示された.
  • 若宮 みあり, 橋口 宏, 岩下 哲, 米田 稔, 高井 信朗
    2020 年44 巻2 号 p. 363-365
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/27
    ジャーナル 認証あり
     今回われわれは腱板断裂例において拘縮合併例と非合併例に分け,臨床的特徴に関して比較検討したので報告する.対象は鏡視下腱板修復術を施行した321例321肩とした.術前EUAにおいて挙上および外転90度,外旋30度,内旋腰椎以下を拘縮群とし,それ以外の症例をなし群とした.評価項目として2群間における年齢,性別,有症状期間,外傷歴の有無,糖尿病歴,喫煙歴,断裂形態に関して比較検討を行った.性別,有症状期間,糖尿病歴に関して両群間における有意差は認められなかった.年齢に関しては拘縮群で有意に低い傾向を認めた.外傷例は拘縮群と比較し,なし群で有意に多かった.喫煙例はなし群と比較し,拘縮群で有意に多かった.断裂形態に関しては不全断裂例を拘縮群で有意に多く認めた.活動性の高い年齢,非外傷例,喫煙者,不全断裂例で拘縮合併例が有意に多く認められ,治療にあたり注意を要する必要が示唆された.
  • 名倉 一成, 原田 義文, 美舩 泰, 乾 淳幸
    2020 年44 巻2 号 p. 366-368
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/27
    ジャーナル 認証あり
     三角筋は肩関節の前方挙上や外転動作に大きく関与し,腱板断裂症例における肩甲上腕関節運動おいて最も大きな影響を与えている.腱板断裂の術前の三角筋の複合筋活動電位(CMAP)と偽性麻痺の有無の関係について検討した.腱板断裂49肩を対象とし,Erb点刺激にて三角筋CMAPの基線-陰性頂点間最大振幅値と陰性-陽性頂点間の積分値を算出し,術前の肩関節可動域(挙上,外転角度),外転筋力について両群間での検討を行った.CMAP積分値と外転および挙上角度,外転筋力は両群間で有意差を認めたが,術前の自動挙上角度,自動外転角度や外転筋力とCMAP積分値の相関性は弱かった.偽性麻痺を含む腱板断裂症例に対して術前三角筋CMAPの評価を行った.
  • 石毛 徳之, 黒田 重史, 荻野 修平, 石井 壮郎, 三笠 元彦
    2020 年44 巻2 号 p. 369-372
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/27
    ジャーナル 認証あり
     鏡視下骨孔腱板修復術(ATOS)後10年以上経過し令和元年6月3日から8月31日に当院を受診した25例25肩(男10肩・女15肩,右19肩・左6肩,断裂サイズ小8肩・中6肩・大11肩,平均74.7歳,平均経過観察期間135.9カ月)を対象とした.術前後JOA score(JOA:X線・安定性除く80点),shoulder 36(sh36),手術後1年でのMRI(菅谷(S)分類)を調査した.平均JOAは術前総合49.3点から術後71.4点へ有意に改善した.sh36では疼痛・可動域・健康感・日常生活機能は平均3.6点だが,筋力は3.2点,スポーツ能力は2.8点だった.術後平均12.1カ月のMRIはS分類I 1肩・II 14肩・III 7肩・IV 2肩・V 1肩だった.手術後1年時S分類Ⅲで最終診察時までに肩腱板機能不全に陥り成績不良となった症例も見られたが,腱板断裂に対するATOSは良い長期的成績が得られる術式と考えられた.
  • 栫 博則, 海江田 英泰, 海江田 光祥, 泉 俊彦, 廣津 匡隆, 藤井 康成, 谷口 昇
    2020 年44 巻2 号 p. 373-377
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/27
    ジャーナル 認証あり
     本研究の目的は腱板断裂患者の可動域に影響を与える因子を検討することである.当院で鏡視下腱板修復術を施行した22肩を対象とし,術前90° 以上自動屈曲可能な群をP群, 不可能な群をI群,健側を対照C群とした.表面マーカーを貼付し,三次元動作解析装置で肩関節運動時の胸郭の屈曲伸展角度・回旋角度・側方傾斜角度,肩甲骨の上下方回旋角度,上腕骨内外旋角度を計測した.同時に僧帽筋,棘下筋,三角筋,大胸筋,前鋸筋の筋活動も計測した.前方および肩甲骨面挙上においてI群はC群に比し有意に上腕骨外旋角度が小さかった.側方挙上時の胸郭回旋においてP群とC群の間に有意な差を認めた.筋電図では前方挙上においてP群に比し,I群で有意に僧帽筋・前鋸筋で活動が高かった.P群の胸郭回旋とI群の筋活動は代償動作と考えられた.腱板断裂患者において挙上が可能か否かに上腕骨外旋角度が影響している可能性が示唆された.
変性疾患
  • 伊藤 岳史, 岩堀 裕介, 山本 隆一郎, 花村 浩克
    2020 年44 巻2 号 p. 378-382
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/27
    ジャーナル 認証あり
     肩石灰性腱炎に対し収束型体外衝撃波治療(f-ESWT)を含む保存療法を行い,石灰巣の容積および臨床成績について検討した.対象は肩石灰性腱炎11例12肩,うちわけは男性1肩,女性11肩で,f-ESWT開始時の平均年齢57.6歳,罹病期間は平均36.5か月だった.石灰巣に対してf-ESWTを平均6.2回照射し,石灰巣の容積はf-ESWT施行前1516mm3から施行後301mm3に有意に減少し(p=0.022), 中央値30.3%に減少していた.疼痛VASスコアはf-ESWT施行前39.0mm,施行後24.0mm (p=0.062)と変化し,JOA スコアはf-ESWT施行前73.0点,施行後83.0点と有意に改善した(p=0.018).特記すべき有害事象は発生しなかった.f-ESWTは石灰巣の吸収や臨床症状の改善に寄与した可能性があり,考慮すべき保存療法の一つと考えられる.
  • 梶原 大輔, 落合 信靖, 橋本 瑛子, 秋本 浩二, 野島 大輔, 嶋田 洋平, 山口 毅
    2020 年44 巻2 号 p. 383-388
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/27
    ジャーナル 認証あり
     難治性慢性肩石灰性腱炎に対する集束型体外衝撃波療法(以下fESWT)の石灰消失に対する予後因子を検討した報告は少ない.本研究の目的は,難治性慢性肩石灰性腱炎に対するfESWTの治療成績と,石灰消失に対する予後因子を多変量解析で検討することである.対象は半年以上の保存加療に抵抗する慢性肩石灰性腱炎311人337肩とした.検討項目はレントゲンにおける石灰消失率(完全・部分消失),臨床スコアとVASを評価した.石灰消失に対する予後因子同定のために多変量解析を行なった.
     石灰の完全消失群,部分消失群,不変群はそれぞれ258例76.6%,51例15.1%,28例8.3%であり,消失率は91.7%,消失群と不変群の照射回数に有意差はなかった.各群において臨床スコアとVASは有意に改善し,多変量解析で横断像における石灰全体の平均CT値のみ有意差を認めた.石灰消失のCT値のカットオフ値は705.7HUであった.
     fESWTは難治性慢性肩石灰性腱炎に有効であり,多変量解析ではCT値のみが石灰消失の予後因子であった.
  • 菊川 憲志, 田村 諭史
    2020 年44 巻2 号 p. 389-392
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/27
    ジャーナル 認証あり
     一次性変形性肩関節症において単純レントゲンによる関節症とMRIによる腱板筋の関連性を調査した.単純レントゲンで軽度の関節症所見を呈する群をMild群(M群),重度の所見を呈する群をSevere群(S群)と定義した.レントゲンで関節症変化なく年齢をマッチさせた群を対照群(N群)とした.腱板筋の萎縮については,MRI斜位矢状断像にて棘下筋領域(ISP),小円筋領域(TM),肩甲下筋領域(SSC)を計測,これらを解剖学的外旋筋領域(a-ER)で除した比(ISP/a-ER,TM/a-ER,SSC/a-ER)で評価した.また棘上筋領域(SSP)も計測し,解剖学的棘上筋領域(a-SSP)で除した比(SSP/a-SSP)で評価した.SSP/a-SSP,ISP/a-ER,SSC/a-ERはN群・M群とS群間で,TM/a-ERはN群とS群間で有意であった.一次性変形性肩関節症においては,単純レントゲンで重度の関節症所見を呈する群では腱板筋の萎縮を認めた.
炎症疾患
  • 山口 毅, 伊勢 昇平, 見目 智紀, 落合 信靖
    2020 年44 巻2 号 p. 393-396
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/27
    ジャーナル 認証あり
     肩関節の外傷・治療歴のない化膿性肩関節炎に対して鏡視下洗浄デブリードマンを行い,良好な成績を経験したので報告する.
     2015年4月から2018年12月までに当院にて化膿性肩関節炎と診断された6例7肩(男性4例,女性2例)に対し,鏡視下洗浄デブリードマンにて治療した.各症例の基礎疾患・合併症・手術から術後CRP陰性化までの日数を調べた.
     年齢は44~93歳(平均73.0歳)であった.6例中3例が糖尿病であり,敗血症状態であった.腸腰筋膿瘍を合併した2例に対し,1例は外科的ドレナージと腰椎後方固定を行い,1例は保存的加療を行った.保存加療を行った1例は術後CRP陰性化するまで日数を要した.
     化膿性肩関節炎は基礎疾患,合併症に対する治療が重要である.感染コントロールがつかない場合は,合併症に対する外科的治療を検討すべきである.
  • 泉 俊彦, 栫 博則, 藤井 康成, 海江田 光祥, 海江田 英泰, 谷口 昇
    2020 年44 巻2 号 p. 397-399
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/27
    ジャーナル 認証あり
     化膿性肩関節炎に対する鏡視下洗浄デブリドマン後の開放性ドレナージは術後早期からリハビリを行える利点から機能予後も良好であることが報告されており,当院でも同方法を採用している.今回,腱板断裂を基礎に持つ化膿性肩関節炎5症例の治療成績を検討したので報告する.
     2015年以降に治療した5例(平均年齢72.4歳)を対象とした.
     起因菌にMRSAなどの薬剤耐性菌はなかった.全例で感染鎮静化が得られ,再燃は無かった.ドレン留置期間は平均14日,鎮静化までの期間は25日であった.最終観察時ROMは屈曲平均83度であった.
     腱板断裂を合併する化膿性肩関節炎では機能低下が感染によりさらに進行し,保存加療だけでは不十分と思われる症例が存在した.いかに周術期感染を回避して機能獲得のための追加手術を行うかという治療戦略を確立する必要があると思われた.
その他
  • 上原 大志, 鈴木 一秀, 福嶺 紀明, 堀切 健士
    2020 年44 巻2 号 p. 400-404
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/27
    ジャーナル 認証あり
     糖尿病患者(DM群)の凍結肩に対する鏡視下関節包切離術の術後疼痛・可動域の推移を非DM群と比較した.DM群7肩と非DM群20肩を対象とし,術後VASと可動域の推移,術後1年のJOAスコアを検討した.VASの推移(術後1,3,6ヵ月,1年)はDM群(3.3,2.5,1.9,0.9)に対し非DM群(2.4,1.2,0.7,0.6)であり,術後1,3,6ヵ月で有意にDM群が高値であった.可動域は,屈曲でDM群(105.7,130.7,138.6,151.4)に対し非DM群(128.5,146,156.5,161.5),外旋でDM群(30.7,48.6,55,60.7)に対し非DM群(42.3,50.8,58.5,63.3),内旋でDM群(L3,L2,T12,T11)に対し非DM群(L1,T11,T9,T9)であり,屈曲・内旋は術後すべての時期でDM群が有意に劣っていた.術後1年のJOAスコアはDM群91.7に対し非DM群94.4と差はなかった.DM群は非DM群と比較して術後疼痛が遷延し屈曲・内旋可動域の改善が劣っていたが,術後1年のJOAスコアには差がなかった.
  • 辰田 明紀, 平本 真知子, 小林 靖典, 横田 祥吾, 東 善一, 松井 知之, 甲斐 義浩, 森原 徹
    2020 年44 巻2 号 p. 405-408
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/27
    ジャーナル 認証あり
     凍結肩は自動挙上運動のみならず内外旋など多方向の運動が制限される.各運動方向の可動性の関連性は不明確であるため,凍結肩患者における自動挙上角度と関連する運動方向を検討した.凍結肩患者24例26肩を対象とした.可動域の測定は,自動挙上と他動での肩甲上腕関節の伸展,内転,水平内転と外転,下垂位および90° 外転位での内外旋とした.統計処理には重回帰分析を行った.自動挙上角度を説明できる変数として,他動の下垂位外旋と90° 外転位内旋が抽出された(p < 0.01).自動挙上角度の予測式は,挙上角度=0.86×{下垂位外旋角} +0.26×{ 90° 外転位内旋角}+89.58となり,修正済み決定係数(R2)は0.81であった.凍結肩における自動挙上角度の改善には,他動の下垂位外旋と90° 外転位内旋の可動域が関与する可能性がある.
治療法
  • 山下 竜一, 間中 智哉, 伊藤 陽一, 市川 耕一, 平川 義弘, 松田 淑伸, 清水 勇人, 中澤 克優, 飯尾 亮介, 富本 彩夏, ...
    2020 年44 巻2 号 p. 409-412
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/27
    ジャーナル 認証あり
     リバース型人工肩関節置換術(以下,RSA)術後1年の臨床成績及び周術期合併症発生率を年代別に比較した.対象はRSAを施行した122肩である.術前,術後1年に肩関節自動可動域,Constant score,VASを評価した.手術時年齢を80歳未満群(以下,U群)85肩,80歳以上群(以下,O群)37肩の2群に分けて比較検討した.両群ともに術前と比較して術後1年で,屈曲,外転,Constant score,VASの有意な改善がみられた.術前から術後1年での臨床成績の改善値は,屈曲,外転,下垂位外旋,Constant score,VASでは両群に有意差を認めなかったが,結帯に関してはU群が有意に低下していた.周術期合併症発生率はU群で16.5%,O群で8.1%であった.術後1年の臨床成績の改善値は,結帯を除いて両群に有意差はなく,周術期合併症発生率も両群に有意差を認めなかった.
  • 嶋田 洋平, 落合 信靖, 橋本 瑛子, 野島 大輔, 梶原 大輔
    2020 年44 巻2 号 p. 413-417
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/27
    ジャーナル 認証あり
    【目的】リバース型人工肩関節置換術(RSA)の肩甲骨窩側のコンポーネントの緩みや臨床成績の低下を引き起こすとされるScapular notchingの本邦での詳細な報告は少ない.今回,RSAにおけるScapular notchingの経時的な発生頻度や程度,臨床成績との関連について検討した.
    【対象と方法】当院でRSAを施行し,術後1年以上経過観察できた164例, 167肩を後ろ向きに調査した. 平均年齢は76 ± 6.6歳(65~91), 男性62例, 女性102例で平均経過観察期間は28 ± 14(12~60)ヶ月であった. 臨床成績は可動域, JOA scoreで評価した.画像評価としてScapular notchingはSirveaux分類で評価し, Prosthesis Scapular Neck Angle(PSNA), Distalization Shoulder Angle(DSA), Lateralization Shoulder Angle(LSA)を計測し関連因子を検討した.
    【結果】Scapular notchingは経年的に発生頻度が増加傾向であり,Gradeの進行を認めた.可動域,臨床成績は経年的な低下を認めなかった.Scapular notchingの発生頻度は,BIO-RSA, On-lay,またLSAが高値で有意に低下した.
    【考察・結語】Scapular notchingの経年的な増加を認めたものの,短期的には臨床成績との関連は認めなかった.またScapular notchingの予防にBIO-RSAやOnlay-Typeのインプラントが有用であった.
  • 国分 毅, 美舩 泰, 乾 淳幸
    2020 年44 巻2 号 p. 418-420
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/27
    ジャーナル 認証あり
     リバース型人工肩関節置換術(RSA)において,肩甲下筋腱(SSC)の修復を行うべきか統一した見解は得られていない.SSC修復の可否が術後成績に与える影響を検討した.2014年7月以降,RSAを施行して1年以上経過観察できた23例(男性8例,女性15例,手術時平均年齢75.0歳)を対象とした.SSCは下垂位外旋30度で過緊張とならないものを修復した.修復群(R群)16例,修復不可群(N群)7例であり,手術時間,屈曲,外転,外旋,内旋の自動可動域,外転,外旋の筋力,UCLAスコア,JOAスコア,Constantスコアを検討した.両群において術後可動域,筋力および臨床スコアは概ね有意に改善した.N群では,外旋と内旋の可動域,外旋筋力の変化は見られず,R群の内旋可動域は有意に悪化していた.しかし,最終経過観察時,二群間の全項目において有意差は認めなかった.RSAにおいて肩甲下筋腱修復の可否は術後成績に影響を与えない.
  • 冨永 亨
    2020 年44 巻2 号 p. 421-424
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/27
    ジャーナル 認証あり
     Trabecular Metal Reverse Shoulder System(TMRS)を用いたリバース型人工肩関節置換術後で,2年以上経過観察が可能であった21例の単純X線所見について,scapular notchingの発生を中心に検討を行った.肩甲骨頚部下縁とbaseplateのなす角(prosthesis-scapular angle: PSNA)と肩甲骨下縁からのglenosphere のoverhangを計測し,scapular notching並びに肩甲骨下縁の骨棘発生との相関を調査した.scapular notchingや骨棘が発生している症例は,相対的にPSNAが大きくoverhangが小さい傾向にあった.過度なbaseplateの下方傾斜設置はscapular notchingのリスクとなりうると考えられた.またgrade2以上のscapular notchingは発生しておらず,TMRSは構造上scapular notching回避に有利に働く可能性があると考えた.
  • 間中 智哉, 伊藤 陽一, 市川 耕一, 平川 義弘, 松田 淑伸, 清水 勇人, 中澤 克優, 飯尾 亮介, 山下 竜一, 富本 彩夏, ...
    2020 年44 巻2 号 p. 425-428
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/27
    ジャーナル 認証あり
     リバース型人工肩関節置換術の術後CT画像を使用し,2次元(以下,2D)評価と3次元(以下,3D)評価を行い,検者間及び検者内信頼性を検証した.対象は12例.2D評価として,SYNAPSE VINCENT®を用いて計測した.3D評価として,Zed Shoulder®を用いた.肩甲骨関節窩傾斜角(以下,GI),肩甲骨関節窩前後捻角(以下,GV),ステム後捻角(以下,SR),上腕骨オフセット(以下,HO)を計測した.2名の整形外科医で,1か月以上の間隔を空けて2回計測した.2D計測と3D計測の検者間及び検者内信頼性を級内相関係数(ICC)にて算出した.検者間信頼性において2D計測のGI,SRと3D計測のHOが低く,検者内信頼性において2D計測のGV,HOと3D計測のSR,HOが低かった.今後,3D評価のさらなる再現性と正確性の確立のため,3Dで各種パラメータを自動表示するために必要な肩甲骨及び上腕骨上の特徴的な点をとる方法を検討する必要がある.
  • 内藤 昌志, 永瀬 雄一, 玉井 和哉, 田中 栄
    2020 年44 巻2 号 p. 429-433
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/27
    ジャーナル 認証あり
     関節リウマチに対しリバース型人工肩関節置換術を行い術後1年以上経過観察可能であった18例21肩を対象とし術後挙上改善不良症例の特徴から術前危険因子を明らかにすることを目的とした.術前および術後の自動前方挙上についてクラスター分析を行ったところ3つのクラスターに分類された.このうち術前前方挙上の平均が約90度であり術後改善した群と,同じく術前前方挙上が約90度であったが術後改善しなかった群との間で術前因子の比較を行ったところ改善不良群の術前Shoulder36可動域スコアは改善良好群より低値であった.本研究の結果,関節リウマチ患者で術前Shoulder36可動域スコアが低値の場合はリバース型人工肩関節置換術後に自動挙上が改善しにくいことが明らかとなりShoulder36がリバース型人工肩関節置換術後の可動域改善の予測に有用である可能性が考えられた.
  • 山口 哲也, 瓜田 淳, 松居 祐樹, 倉茂 秀星, 岩崎 倫政
    2020 年44 巻2 号 p. 434-437
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/27
    ジャーナル 認証あり
     リバース型人工肩関節置換術(RSA)は屈曲可動域を改善させるが,従来のIn-lay型では外旋可動域の改善は難しく,近年,外旋可動域の改善が期待できるOn-lay 型が主流である.本研究の目的は,On-lay 型RSA後の筋力について検討する事である.On-lay 型RSAを行った26例26肩を対象,手術時平均年齢75歳,平均経過観察期間19カ月.評価項目は肩関節可動域,外転筋力および下垂位と90度外転位での外旋筋力.屈曲可動域,外旋可動域は術前後で有意に改善.筋力に関して,外転筋力は健側と同等まで改善したが,下垂位と90度外転位での外旋筋力は改善したが健側より有意に低かった.On-lay型RSAは外転,外旋可動域とともに外転,外旋筋力も改善することが示された.しかし,外転筋力は健側と同等まで改善していたが外旋筋力は健側よりも弱かった.On-lay型 RSAにおいて外旋筋力をより改善させるには更に工夫が必要であることが示唆された.
  • 松ヶ崎 圭純, 佃 幸憲, 瓜田 淳, 松居 祐樹, 岩崎 倫政
    2020 年44 巻2 号 p. 438-441
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/27
    ジャーナル 認証あり
    ステムレス人工骨頭を用いた3例を経験したので報告する.全例男性で変形性肩関節症に対する人工肩関節置換術1例,腱板断裂性関節症および上腕骨頭壊死に対する人工骨頭置換術2例.全例で最終経過観察時の臨床成績は改善し,X線で緩みを認めなかった.ステムレス人工骨頭は上腕骨近位の骨量を温存できる一方で固定性が懸念される事から本症例のような骨質の良い男性には良い適応であると考えられた.
  • 川口 真司, 福田 昇司
    2020 年44 巻2 号 p. 442-445
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/27
    ジャーナル 認証あり
     関節鏡視下腱板修復術(ARCR),関節鏡視下Bankart修復術(ABR),大腿筋膜を用いた関節鏡視下上方関節包再建術(ASCR)における周術期推定出血量を検討した.ARCR 67肩,ABR 23肩,ASCR 18肩を対象とし,術前後のヘモグロビン値の変動から出血量を推定した.各術式における総出血量,1時間当たりの出血量(時間出血量)を算出し,3群間で統計学的検定を行った.総出血量はARCR 502ml,ABR 392ml,ASCR 599mlでABRとASCRの間に有意差を認めた(p=0.004).総出血量はABR,ARCR,ASCRの順に多く,手術時間と関連した.時間出血量ではABR,ARCRと比較してASCRが有意に少なかった.原因として半側臥位で大腿筋膜を採取後にビーチチェアポジションに体位変換する時間も手術時間に含んでいることが考えられる.鏡視下手術でも総出血量は多く術前の貧血の有無に留意が必要である.
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