肩関節
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症例報告
陳旧性右肩関節後方脱臼に対して人工骨頭置換術を行い術後13年間経過観察し得た一例
森原 徹木田 圭重岩田 圭生
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キーワード: 後方脱臼, 陳旧性, 長期成績
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2021 年 45 巻 1 号 p. 189-192

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抄録
 今回われわれは,上腕骨骨折に合併した外傷性肩関節後方脱臼後の陳旧例に対して右人工上腕骨頭置換術を行い,術後13年間経過観察し得た症例を報告する.55歳男性で ,主訴は右肩関節部痛と可動域制限であった.34ヵ月前に2階から転倒し,右肩を打撲した.単純X線像から右上腕骨骨折と診断され,保存療法が施行された.骨癒合後にリハビリテーションが施行されたが,可動域制限と疼痛が残存し,当院を初診した.理学所見では右肩に圧痛や腫脹は認めなかったが,可動域は自動および他動とも屈曲140° ,外転120° ,外旋-5° および内旋L1と制限されていた.筋力低下は認めず,日本整形外科学会肩関節疾患治療判定基準(JOAスコア)は59点であった.単純X線画像では上腕骨頭前内側部に広範な骨軟骨欠損像(reverse Hill-Sachs lesion)を認めた.CT画像では,上腕骨骨頭前内側が関節窩後縁に嵌頓し,上腕骨関節面全体の約1/4に相当するreverse Hill-Sachs lesionを認めた.陳旧性右肩関節後方脱臼と診断し,受傷後約36ヵ月で手術を施行した.関節窩の軟骨は一部摩耗していた.骨頭軟骨は摩耗し,陥没を認めたため,人工上腕骨頭置換術を施行した.術後13年の可動域も同様で,JOAスコアは89点と日常生活と事務作業には特に支障はない.陳旧例の手術療法では骨頭陥没の大きさ,罹病期間によって手術法が選択される.本症例では人工上腕骨頭置換術と後方関節包縫縮のみで良好な術後長期成績が得られた.
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© 2021 日本肩関節学会
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