肩関節
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変性疾患
中枢性感作が凍結肩患者の治療経過に及ぼす影響
新福 栄治内山 善康繁田 明義橋本 紘行今井 洸鷹取 直希和才 志帆渡辺 雅彦
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2023 年 47 巻 1 号 p. 155-158

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抄録

 近年,凍結肩に中枢性感作(以下CS)の関与が報告され,診断ツールとしてCentral Sensitization Inventory(以下CSI)が用いられている.今回我々は初診時CSIが拘縮肩の治療経過に及ぼす影響をJOA scoreを用いて経時的に調査したので報告する.対象は当院で初診時に凍結肩と診断し,保存的加療した93例である.保存的治療は全例に初診時からリハビリテーションと内服治療を開始し症状に応じて関節注射を施行した.初診時CSIが40点以上をCS+群(16例, 平均年齢58.1 ± 11歳),39点以下をCS-群(77例, 平均年齢58.7 ± 9.8歳)とした.評価は初診時と治療開始3か月後,最終経過観察時(平均6 ± 0.3(SD)か月)にJOA scoreを計測した.統計学的検討ではChi-square test, Mann-Whitney U testを使用し,p < 0.05を有意差ありとした.服薬内容,注射回数では両群間に差はみられなかった.初診時JOA scoreはCS-群とCS+群の間では差はみられなかった(52.7 ± 9.5(SD)vs 51.8 ± 13.5(SD), p=0.53).治療開始3か月のJOA scoreはCS-群に比べCS+群で低値であった(75.4 ± 5.4(SD)vs 68.6 ± 7.7(SD), p=0.007).最終経過観察時でのJOA scoreはCS-群に比べCS+群で低値であった(81.5 ± 4.6(SD)vs 75.1 ± 2.9(SD), p=0.001).今回の結果から,初診時CSI高値の症例は治療開始3か月後,6ヶ月後のJOA scoreの改善が乏しく,CSが予後不良因子となる可能性が示唆された.

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© 2023 日本肩関節学会
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