2019年以降,腱板大・広範囲断裂症例に対して菱形筋・腱板筋連結をすべて鏡視下に行なった腱板筋前進古川法の短期治療成績を報告する.
【対象と方法】腱板大・広範囲断裂24例 24肩を対象とした.検討項目は,術前の腱板断端部位,断裂腱板の脂肪浸潤と術後腱板断端修復状態をMR画像から評価し,臨床成績はJOAスコアで検討した.
【結果】術前の腱板断端部位は棘上・棘下筋stage I: 0/4肩, II: 0/6肩, III-1: 12/10肩, III-2: 12/4肩であった.術後では菅谷分類type I は21例,type IIは1例でtype III は1例,type IV は1例であった.JOAスコアは術前平均54点から術後1年では92点に改善した.
【考察】これまでわれわれは,観血的なDebeyre-Patte変法から,2007年にはより低侵襲な関節鏡視下支援へ,2012年には腱板筋を肩甲骨から剥離できる内視鏡支援下に進化させてきた.今回術中の鏡視下に正確に腱板筋前進術が可能となり筋内腱を大結節付着部に縫合したことで,術後の再断裂率が5%以下となったと考えた.完全鏡視下に正確に腱板筋を剥離前進できる本法は腱板大・広範囲断裂に対する有用な一次修復術のひとつである.
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