抄録
本研究の目的は,本邦における一次性変形性肩関節症(一次性OA)に対するステムレス人工肩関節全置換術(TSA)の術後短期成績を評価することである.対象は,2019年1月から2021年12月までに一次性OAに対しステムレスTSAを行った7名7肩(平均年齢61.0 ± 7.5歳)であり,平均経過観察期間は24.9 ± 10.6ヵ月であった.臨床評価として術前および最終診察時の疼痛,肩関節自動可動域,ASES score,Constant scoreを比較し合併症の有無を評価した.放射線学的評価として単純X線を用いて骨透亮部を定量評価した.術後,疼痛,可動域,ASES score,Constant scoreは大きく改善した.骨透亮像は内側でより深かったが軽度であった.術前に予定した全例で使用可能であり合併症はなかった.今後,ステム型インプラントを使用したTSAとの比較を含め,より長期的な評価が必要と思われる.