抄録
当院では,リバース型人工肩関節置換術適応外の一次修復不能な腱板断裂に対して鏡視下大腿筋膜パッチ法を行っており,その臨床成績を検討したので報告する.2012年~2020年に大腿筋膜パッチ法を行い,手術時年齢が70歳未満かつ術後1年以上経過観察可能だった23例を対象とした.JOAスコアは術前62.9点から術後88.2点,自動挙上角度は術前108度から169度と有意に改善した.再断裂は4例(17.4%)に認められた.再断裂と関連とする因子として,術前の外旋 lag sign,小円筋の脂肪浸潤が挙げられた.年齢,罹病期間,喫煙歴,上腕骨頭上方化の程度は非断裂群と再断裂群で差がなかった.本検討では,再断裂率は諸家の報告と同等以下であり,再断裂の有無によらずおおむね良好な臨床成績が得られていた.一次修復不能な腱板広範囲断裂の治療法として,大腿筋膜パッチ法は有効であったが,小円筋脂肪変性が高度な例への適応については検討が必要である.