近年,CFDやPIV技術の発達及び普及によって,様々な流れ場の詳細な構造が調べられている。しかし,建築物に代表されるような3次元物体の周りの流れは複雑で,その詳細については必ずしも明らかになっているとは言えない。特に,頂部を越える流れと側面から剥離した流れの非定常な干渉については,これまで様々な試みがなされてきたにもかかわらず,その状況は依然として解明されていない。 本論文は,乱れの小さい一様流中に置かれたアスペクト比2.7の正四角柱の後流の流れ場を,2次元および3次元ステレオPIVによって測定した結果に基づいて,後流中の非定常流れ場,特に側面からの流れと頂部を越える流れ場の干渉に伴うカルマン渦の3次元構造について検討したものである。本測定では,複数の測定断面におけるPIVの測定画像を,側面の剥離剪断層の外側に設置した熱線風速計の信号に同期して抽出し,カルマン渦形成・成長・放出段階における複数の測定断面の画像を重ね合わせて,非定常流れ場の構造を調べた。