九州歯科学会雑誌
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ラット初期成長骨における破骨細胞と全骨髄細胞数の日令依存変化
井上 博雅何 達人内山 長司
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1986 年 40 巻 5 号 p. 1098-1106

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抄録

ラット大腿骨より破骨細胞を多く分離するために, 生後20日目まで大腿骨骨髓内の破骨細胞数を測定し, 多数分離できる日令を調べた.全骨髓細胞懸濁液を塗抹し, 巨大で多核な酸性ホスファターゼ陽性細胞を破骨細胞として計測した.本細胞数は生後3日目と16日目にピークを示す大きな変動をし, 前のピークは小さく後のピークは大きかった.本細胞の平均核数は4.6∿6.0の範囲で少し変動した.全骨髓細胞数は日々増加し, 増加率は7日目から13日目の間最も高かった.全骨髓細胞をパーコール濃度勾配遠心をし, 上層より8画分に分画した.破骨細胞は第2, 3画分に常に分画された.パーコール分画後・回収破骨細胞数は3日目に最初のピークとなった.しかし第2のピークは9日目であった.パーコール前後で第2のピークがずれたことは, 本細胞の回収率の違いにより生じたもので, 本細胞の生理状態の違いを反映したものと考えられた.全骨髓細胞は骨髓洗浄により, 骨髓細胞と骨表面細胞の2つの細胞集団に分けられた.破骨細胞は骨表面細胞中に常に回収されるため, 骨髓細胞の存在は破骨細胞分離に不利である.骨髓細胞は7日目以後増加するため, これ以後骨髓細胞の洗浄はこの選択的除去法として有効である.これらの結果は破骨細胞の回収率を高めるための適当な日令と, 他の胞胞を除く有効な方法を示している.また破骨細胞の劇的な変動は本細胞の新生, 分解または活性化, 不活性化を反映していることについて考察した.

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© 1986 九州歯科学会
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