1998 年 52 巻 6 号 p. 663-670
私たちは, 口腔扁平上皮癌38例における血清TNF-αを測定し, その有用性を検討した.口腔扁平上皮癌患者の血清TNF-αの測定値は健常成人よりも有意に高い値を示していた.また, 予後不良例に比べ, 予後良好例では有意に高い値を示し, 5年生存率でも血清TNF-α陽性例が有意に高い成績を示していた.さらに, 血清TNF-αはSquamous cell carcinoma antigen (SCCA), Immunosuppressive acidic protein (IAP)の腫瘍マーカーと相関していた.以上の研究成績から, 口腔扁平上皮癌において, 血清TNF-αは重要な予後因子であるとともに, 腫瘍マーカーとして臨床的に意義あるものと考えられた.