抄録
生後5週齢のWistar系雄ラットを対照群, 標準食・活性型ビタミンD_3群, 低亜鉛食・活性型ビタミンD_3群, 高亜鉛食・活性型ビタミンD_3群の4群に分けた.4週間飼育した後, 亜鉛及び活性型ビタミンD_3の成長期歯槽骨の骨成長に与える影響について検索し, 次のような結果を得た.1. 体重 : 対照群と他の3群との間に有意差は認められなかったが, 低亜鉛食・活性型ビタミンD_3群と高亜鉛食・活性型ビタミンD_3群の間には有意差があり, 後者が高値を示した.2. X線骨密度 : 各群の平均値の差の検定を行ったところ, 低亜鉛食・活性型ビタミンD_3群と高亜鉛食・活性型ビタミンD_3群との間に5%の危険率で有意差があり, 後者が高値を示した.3. 病理組織所見 : 対照群に比べ低亜鉛食・活性型ビタミンD_3群において骨層の菲薄化, 低石灰化層の増加, ハバース管周囲の骨小腔の減少と疎な配列, 辺縁の不規則化がみられた.標準食・活性型ビタミンD_3群ではハバース系, 骨小腔などが増加傾向を示しており, 骨層の厚みも増加していた.高亜鉛食・活性型ビタミンD_3群では骨層はさらに増加し, ハバース系, 骨小腔も増加し密に配列し, かつ再石灰化層の増加も著明であった.4. 走査型電子顕微鏡所見 : 低亜鉛食・活性型ビタミンD_3群における骨基質形成面は吸収面が厚く, その再表層部には疎なコラーゲン原線維網が多く認められた.一方, 高亜鉛食・活性型ビタミンD_3群における骨基質形成面は休止面が多く認められ, そこには密なコラーゲン原線維網が表層部を被っていた.標準食・活性型ビタミンD_3群は対照群とほぼ同じ所見を示していた.5. 血液学的所見 : 内分泌機能検査において血中カルシトニンは低亜鉛食・活性型ビタミンD_3群では対照群に比べて, 有意に低値を示していた.このことから骨吸収抑制作用の低下が示唆された.以上のことから, 亜鉛摂取による影響は骨構築に対し, 促進作用があるのは明らかである.正常な骨代謝状態を営んでいる状態の中での低亜鉛, 高亜鉛の作用は生体恒常性を超えるものではなかった.また活性型ビタミンD_3は骨構築の改善には有効であるが, 単独では亜鉛不足を補う強い作用はみられなかった.