抄録
細胞表面抗原のCD4に陽性なヘルパーT細胞(Th)は, サイトカインの産生する種類によってTh1とTh2の2つの亜集団に分類されている.一般的に, Th1は細胞性免疫を誘導し, Th2は液性免疫を誘導する.幼弱なCD4陽性ヘルパーT細胞からこれらの亜集団への分化は, 種々の条件によって影響をうける.その条件のうちの一つは, 抗原の種類であると信じられている.我々は先にLipopolysaccharide (LPS)のラットへの注射は, 大きな抗体産生を誘導し, 一方卵白アルブミン(OVA)の注射は, 小さな抗体産生を誘導することを見いだした.この免疫学的な違いは, それぞれの注入した抗原により, 誘導されたThの性質に依存しているのではないかと考えた.この可能性を確かめるために, OVAまたはLPSをラットの腹腔内に接種し, 脾臓細胞からOVAまたはLPSに応答して特異的に細胞増殖をする, ヘルパーT細胞クローンを樹立した.それぞれ5種類ずつ, 任意に樹立したヘルパーT細胞クローンを選択し, それぞれをOVA特異的またはLPS特異的Thクローンとした.ヘルパーT細胞であることは, W3/13HLK(抗ラットT細胞)とCD4陽性であることから確かめた.選んだOVA特異的Thクローンの5種類全ては, Th1様の性質を示した.すなわちこれらのクローンはインターロイキン2とインタフェロンを産生し, 遅延型過敏症を誘導した.また選んだLPS特異的Thクローンの5種類全ては, Th2様の性質を示した.すなわちB細胞による抗体産生を助けた.従って, 腹腔内免疫よって誘導されるThクローンの亜集団は, 使用した抗原の種類に主に依存していることが示唆された.