九州歯科学会雑誌
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原著
ビスフォスフォネートが小児期ステロイド性骨粗鬆症モデルラット脛骨の骨代謝回転に及ぼす影響
長谷川 薫牧 憲司
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2009 年 63 巻 1 号 p. 32-43

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抄録

本研究の目的は,リセドロネートがステロイド性骨粗鬆症を惹起した成長期ラット脛骨の軟骨内骨化および膜性骨化に対していかなる作用を及ぼすかを比較,検討することである.5週齢のWistar系雄ラットに対して,グルココルチコイド(GC)30mg/kgを6週間経口投与し,骨粗鬆症の発症を確認したのち,リセドロネート0(生理食塩水),0.5,1.0mg/kgを4週間経口投与した.
実験終了10日前と3日前カルセイン8mg/kgを皮下投与した.実験終了後,両側脛骨を摘出し,右側脛骨の骨幹端部海綿骨と骨幹部皮質骨の骨形態計測を行った.また左側脛骨については,骨強度試験を行った.骨幹端部海綿骨において,GC投与群は,明らかな骨形成および骨吸収の低下を認めた.圧縮試験の結果,6週間のGC投与直後有意差は認められなかったが,4週間の生理食塩水投与後,破断エネルギーが有意に低下した.骨幹部皮質骨においては,GC投与は外骨膜面および内骨膜面での骨形成の低下を認め,3点曲げ試験の結果,6週間のGC投与後,さらにその後4週間の生理食塩水投与後も破断エネルギーが有意に低下していた.リセドロネート投与によって,骨幹端部海綿骨の骨形成および骨吸収は抑制され,その結果,骨梁数(Tb.N)が増加,骨梁間隙(Tb.Sp)が低下し,GC投与によって低下していた破断エネルギーが回復した.骨幹部皮質骨では,リセドロネート投与によって外骨膜面での石灰化速度(MAR)が有意に増加し,3点曲げ試験の結果,GC投与によって低下していた破断エネルギーの増加が認められた.
以上より,リセドロネートは,成長期ラットの軟骨内骨化,膜性骨化部分ともにGC投与による続発性骨粗鬆症を回復させることが明らかとなった.しかし,両部位の骨強度の回復メカニズムは,それぞれ異なっていることが示唆された.

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