九州歯科学会雑誌
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機能性要因を考慮して診断および治療を行った 下顎前突症の2症例
柳川   恵
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2014 年 68 巻 4 号 p. 47-57

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抄録
成人の下顎前突症では,外科手術を併用した矯正治療が適しているのか,あるいは矯正治療単独での治療が適しているのかという判断が難しい場合がある.境界域の症例では,前歯部が早期に接触することによって下顎が本来の位置よりも前方に誘導されて生じる機能性反対咬合の程度を見極めることも重要である.  今回報告する2症例は,中心咬合位における側面頭部エックス線規格写真のトレース分析上では下顎前突症の特徴が強く認められるが,中心位と中心咬合位の差が大きく,また前歯部での早期接触が認められたため,機能性反対咬合の要因が大きいことが推察された.  そこで,模型での計測と側面頭部エックス線規格写真の計測とを組み合わせて,側面頭部エックス線規格写真トレース上でのANB角を補正する.これは機能性の要因を考慮し,本来の上下顎骨の位置関係を予想するものである.  この方法を行ったところ,2症例の実質的なANB角は,矯正治療単独での治療を行える範囲だと判断した.  結果,2症例ともに補正したANB角に近い数値で治療を終えることができた.今回,ANB角を補正する方法は,矯正治療単独での治療を行えるかの判断を行う上で有用であると考えられた.
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© 2014 九州歯科学会
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