九州歯科学会雑誌
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ヒト歯肉扁平上皮癌細胞株Ca9-22における超音波と ドキソルビシン内包バブルリポソームの併用による致死活性効果
小野 聡岩永 賢二郎冨永 和宏
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2017 年 71 巻 1 号 p. 1-9

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抄録
近年,癌治療における薬剤の有効性を高める方法として,ナノスケールの運搬体を利用して病巣に選択的に薬剤を 送達することを目的とするターゲティング型DDS(Drug Delivery System)が注目を集めている.これまで,医療用に用いられる程度の出力の超音波とナノバブルを併用することにより,様々な細胞や臓器へ薬剤や遺伝子を導入してきた. 臨床ではすでにDoxorubicin(DOX)含 有リポソーム製 剤( ドキシル®)が ステルスリポソーム (Polyethyleneglycol:PEG修飾リポソーム)として,カポジ肉腫や卵巣癌などの治療に使われている.今回,ドキシルから新規ナノバブル(Encapsulated Doxorubicin Bubble Liposomes;EDBL)を作製し,ヒト歯肉扁平上皮癌細胞株Ca9-22に対して,EDBLと超音波の併用による致死活性効果について検討した. EDBLと超音波を用いてDOXをCa9-22に導入した.致死活性効果はWST-8 assay,フローサイトメーターを用いて評価した.超音波照射96時間後では,コントロール群に対し,EDBLと超音波を併用群では有意な細胞数の減少 を認めた.またWST-8 assayでもコントロール群に対し,有意な致死活性効果の増強を認めた.超音波照射48時間後では,Controlと比較し,EDBLと超音波を併用群のみ細胞質が膨張し,形態的変化を認めた.また,subG1の著明な増加とAnnexin-V/PI細胞数の増加を認めた.さらに,EDBLと超音波併用群で細胞核の断片化を認め,細胞死がアポトーシスによるものと考えられた.In vitroの実験系にて,EDBLをCa9-22 cellへ超音波導入したところ,低い濃度で強い致死活性効果の増強が認められた.さらにその細胞死はアポトーシスであることが明らかとなった.これ らのことから,口腔癌に対する抗癌剤内包ナノバブルと超音波を併用したドラッグデリバリーシステムの可能性が示 唆された.
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