抄録
修復材料の歯髄刺激を評価するために歯髄細胞の機能(象牙質形成能)を指標とした新しい試験方法を開発した. 現在行われている歯髄試験は修復材料を窩洞に充塡後,刺激を受けた歯髄細胞の形態変化を観察することで評価を
行っている.この評価法では,各修復材料間の歯髄刺激に差はほとんどなく,細胞毒性試験との乖離がみられる.そこで,歯髄細胞の形態変化では無く,機能の変化に着目して評価することにした.
新しく開発した試験方法は,各修復材料を充塡した歯の歯髄が窩洞形成や充塡による種々の刺激から回復した後,他の部位から歯髄断髄法を行い,断髄面に形成されるデンティン・ブリッジの量や成熟度で修復材料の歯髄刺激を評価する方法である.今回,新しい歯髄試験を用いて,5種類の修復材料の歯髄刺激を評価するとともに,この試験の有用性を検討した.
新しい歯髄試験では,各修復材料間で象牙質形成能に特徴的な違いが認められ,差の認められなかった従来の歯髄試験とは異なった結果となった.これらの結果は細胞毒性試験との矛盾を説明することも可能であった.新しい歯髄試験は修復材料の歯髄刺激を評価するために有用であることが示された.