九州歯科学会雑誌
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有床義歯装着患者に対する補綴歯科治療介入が咀嚼機能およびQOLに及ぼす影響
津 田 尚 吾鱒見  進一有田 正博
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2017 年 71 巻 4 号 p. 67-74

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抄録
義歯新製を希望する有床義歯装着者に対して,補綴歯科治療介入が咀嚼機能およびQOLの改善に有益であるかどうかを判定することを目的に,九州歯科大学附属病院義歯科を受診し有床義歯の新製を希望した有床義歯装着患者で,かつ本研究に同意が得られた患者12名(平均69.9±9.81歳)を対象に,初診時調査項目として,年齢,性別,残存歯数,咬合支持(Eichner分類),欠損歯列(宮地の咬合三角の分類),現有義歯の状態,現有義歯使用期間,全身健康状態(Barthel Index:BI),病歴,使用中薬剤,DMFおよび口腔内の補綴状況の12項目を調査するとともに,咀嚼機能評価として,最大咬合力,咀嚼能力,咀嚼スコアの3項目,全身的QOLの評価として,12-Item Short Form Health Survey(SF-12)からの身体的サマリー(PCS)と精神的サマリー(MCS),および気分や感情の評価(POMS)の3項目,栄養状態の評価として簡易栄養状態評価(MNA),口腔関連QOLの評価としてOHIP-J14とGOHAIの2項目について補綴歯科治療介入前後で評価したところ,補綴歯科治療介入により最大咬合力および咀嚼スコアが有意に増加し,OHIP-J14とGOHAIのいずれも有意に改善したことから,補綴歯科治療介入は,有床義歯装着患者の咀嚼機能および口腔関連QOLの改善に有益であることが示唆されたが,調査期間中において全身的QOLの有意な改善は認められなかった.
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© 2017 九州歯科学会
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