2019 年 73 巻 3-4 号 p. 48-55
外科的歯内療法は歯根端切除術,意図的再植術および移植術に分類され,臨床において比較的頻度が高いものは歯根端切除術である.歯根端切除術において成功の可否を左右するものは,病巣へのアプローチといっても過言ではない.すなわち十分な術野の確保と確実な止血である.しかしながら術野確保のための必要十分な切開線の設定方法や出血の少ない粘膜骨膜弁の展開方法などの理論については,明確に示されてはいない.本稿では,歯根端切除術における全身的適応や周術期管理を含め,外科的基本術式として術野確保のための切開線の設定方法や粘膜骨膜弁の展開方法ならびに止血コントロール法などについて,要旨を簡潔に報告する.