九州歯科学会雑誌
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無髄歯に対するコンポジットレジン直接修復の臨床評価 - 8症例 -
寺下 正道西野 宇信北村 知昭
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2020 年 74 巻 2 号 p. 21-29

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抄録
歯の修復材料として開発されたコンポジットレジンは, 数々の改良を経て,有髄歯の硬組織疾患を治療するために欠かせない材料となっている. 有髄歯に比べて無髄歯は歯質の強度が低下している上に,根管治療で健全歯質の一部も削除され,歯の外圧に対す る耐性が減少している.そのため,機能回復には間接法で歯質より強度の大きい材料で被覆(修復)するのが一般的で ある.しかしながら,咬合や外傷などで大きな負荷が加わると,修復材料よりも強度に劣る歯質に破壊が起こること が危惧される.歯根破折を起こすと,歯を失うことに繋がる.間接法と比較して直接修復するコンポジットレジンは, 残存歯質を切削することは少なく,象牙質に近い物性を持ち,接着を活用することで歯質と一体化して残存歯質の補 強に繋がることも期待される.コンポジットレジンの直接修復が無髄歯にも有用であることが認識されているものの 臨床報告が少なく,適応に関して明確な判断は示されていない. 一方で,社会の変化とともに患者の要求(問題)の多様化がみられ,同じ病態の疾患であっても問題解決のためには 複数の選択肢を持つことが必要となってきている. 今回,患者の持つ種々の問題を考慮してコンポジットレジンの直接修復を行なった無髄歯の症例の経過を観察し, 無髄歯の機能回復のための修復法として評価した. 症例数(8症例)は少なく,観察期間も十分とは言えない症例もあるが,患者の問題は解決し,修復した歯は保存さ れ機能していた.この間に生じた障害に対しても,コンポジットレジンによる再修復や補修修復で対応が可能であっ た.無髄歯の機能回復にコンポジットレジン修復の有用性が示唆された.
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