九州歯科学会雑誌
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第80回九州歯科学会総会・学術大会(2021)シンポジウム「一般歯科医療における歯科麻酔科の役割」:歯科における麻酔学
医療と医療の架け橋
坂本 英治
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2021 年 75 巻 p. s3

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抄録
私は歯科麻酔学に足を踏み込んで25年になる。ほんのちょっと勉強のつもりが、すっか り一生の仕事になっている。当時、先代教授の仲西修先生はこうおっしゃっていた。 `歯科医師が麻酔をする意味を考えなさい`  その答えを模索する25年だったように思うがまだそれはよくわからない。  九州歯科大学歯科麻酔学(現侵襲制御学)講座は昭和53年(1978年)に開設された。全国の歯 学部・歯科大学において12番目だそうである。歯科麻酔は、口腔外科手術における侵襲制 御の必要性から生まれた分野であり、それは外科から麻酔科が派生した経緯と同じである。 従って、手術室での口腔外科の手術麻酔を円滑に行うことを目標としている。  初代教授の西正勝先生は`人がやらないことをやりなさい`と医局員に述べておられた。  西先生の薫陶下に、当時の先輩医局員の方々は、麻酔の知識と技術を活かして、人がや らない臨床へ挑戦されていた。それは手術室にとどまらず、外来へと活躍の場が広がって いった。関東逓信病院(現NTT東日本病院)の初代部長若杉文吉先生は`麻酔科に手術室以 外にも活躍の場があればたくさんの人に興味を持ってもらえるという思いからペインクリ ニック外来が生まれた`とその著書にあった。その思いに似ているような気がする。仲西 先生は `歯科麻酔学の面白さは外来にある`ともおっしゃっていた。  歯科麻酔学の外来業務のひとつがその疼痛学である。現日本大学歯学部教授今村佳樹先 生が関東逓信病院の研修をされて以来、九州歯科大学侵襲制御学外来はあらゆる面で全国 有数の施設となり現在に至っている。  医学は整形外科、内科、婦人科、耳鼻科のように部位別、臓器別の枠組みでその担当領 域が分けられている。必然的に部位別、臓器別では漏れてしまう隙間が生じてしまう。一方、 麻酔学、疼痛学はそのくくりを超えて全身を対象とする。疼痛学に至っては、心まで対象 にすることもある。隙間にある疾患では適切な治療機会に恵まれず悩む患者も存在する。 そんな患者に誰かが架け橋になっていく必要が生まれる。  歯科医師が麻酔学や疼痛学をする意味とは、医療と医療の架け橋でではないかと思うに 至っている。麻酔学や疼痛学の知識を持って、医科と歯科をつなぐような、一般歯科では 治らない非歯原性歯痛への医療の提供である。医療の枠組みで生じる隙間を埋めるような 医療を提供することではないかと今は考える。これまで経験した症例を供覧しながら、歯 科麻酔学、疼痛学のあり方を考えてみたい。
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