形態・機能
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明暗サイクルの変化が母胎に及ぼす影響
田中 美智子長坂 猛
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2006 年 5 巻 1 号 p. 9-16

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抄録
明暗サイクルの変化が母胎に与える影響を検討するために、8週齢のWistar系雌ラットを用いて、妊娠1週目の母体の血液性状、ホルモンの状態及び胚重量について調べた。
実験動物は、通常の明暗サイクル (明9: 00~21: 00、暗21: 00~9: 00) で飼育した非妊娠コントロール群 (n=10) と妊娠コントロール群 (n=10) および、通常サイクルと逆転サイクル (明21: 00~9: 00、暗9: 00~21: 00) を1日毎に交互に繰り返す条件で飼育した非妊娠シフト群 (n=12) と妊娠シフト群 (n=11) の4群に分けた。
妊娠シフト群の母体での血糖値は若干の上昇が認められたのに対して、血清アルブミンやトリグリセライドは低下しており、さらに、胚の成長抑制が認められた。また、非妊娠シフト群の肝臓1gあたりのグリコーゲン量は非妊娠コントロール群に比して有意な減少が認められた。さらに、カテコールアミンの分泌は非妊娠コントロールに比べると、明暗サイクルの変化や妊娠により、個体間のばらつきが大きくなった。また、アミラーゼやノルアドレナリンの分泌は妊娠シフト群で増加したが、コルチコステロン濃度には変化が認められなかった。
今回の結果より、明暗サイクルを変化させることは、生体にとってストレッサーとして作用していると考えられる。また、ノルアドレナリンの分泌増加をもたらした結果、胚の成長抑制を引き起こしている可能性が示唆された。
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© コ・メディカル形態機能学会
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