2008 年 6 巻 2 号 p. 119-126
各種の血液凝固・線溶因子のクリングル構造には、1) コンセンサス配列 (NYCRN: アミノ酸1文字表記) と、2) 3か所のリジン (ε-アミノカプロン酸) 、1か所のヘパリン、さらに第VII凝固因子の結合部位があり、3) ヘパリンやε一アミノカプロン酸はその結合を抑制し、4) 合成ペチドの競合実験はモチーフがNYCRNPDNRRRであることを示唆した。この構造の特徴は立体構造解析から明らかになった。親水性アミノ酸残基部位が3か所あり、αヘリックスなどのモジュール構造になっていた。モチーフは第3番目の親水性部位でαヘリックス・ターン・αヘリックスを形成し、2つのαヘリックス (α丘) と、2つの反平行βシート (β丘) の間にあった。いずれも分子表面に露出し、各種リガンド結合による機能発現に最適な配置であることが示唆された。