経済分析
Online ISSN : 2758-9900
Print ISSN : 0453-4727
教育サービス生産における数量・価格指数の測定:1955–2019年
野村 浩二
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 207 巻 p. 191-219

詳細
抄録

非市場産出である教育サービスではさまざまな測定法が検討されてきたが、適切な評価のためには共通のデータ基盤を持つ整合的な測定値の開発が欠かせない。本稿は、日本の学校教育サービスに関する詳細なクロス分類データである「教育サービス産出データベース(ESJ)」、そしてESJに基づき構築された「教育分析用拡張産業連関表(EIOT)」の長期時系列データを基盤とし、教育サービスの質の変化を反映した価格・数量指数の測定として複数のアプローチから接近する。その測定は1955年から2019年までの長期をカバーし、測定法としてⅠ.単純産出数量法、Ⅱ.産出数量法、Ⅲ.投入法、そしてⅣ.ハイブリッド法(狭義の教育活動に産出数量法、その補助的活動に投入法を適用)の4つが適用される。産出数量法(ⅡとⅣ)における産出指標としては、一般に想定される教育サービスの需要側に着目した生徒数や生徒授業時間に加え、教育サービスの供給側に着目した教員授業時間が定義される。そうした組み合わせによる8つの測定結果によれば、教育サービス需要側の産出指標に基づく産出数量法の適用は少子化の進行に伴い有効性を低下させており、(産出指標を教員授業時間とする)Ⅳ.ハイブリッド法の適用が有効であると評価される。

著者関連情報
© 2023 内閣府経済社会総合研究所
前の記事 次の記事
feedback
Top