結核
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老人保健施設入所者の結核対策
リスクマネージメントの視点で
大森 正子和田 雅子御手洗 聡野内 英樹伊藤 邦彦山内 祐子宍戸 眞司
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2006 年 81 巻 2 号 p. 71-77

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抄録

〔目的〕老健施設入所者の結核対策のあり方を検討する。〔方法〕3ヵ所の老人保健施設で,入所者の背景を調査し問診を実施した。CR搭載検診車による結核検診成績を検討した。〔結果〕入所者212名中女は73.1%,平均年齢は男80。7歳女84.2歳だった。認知症は42 .9%,四肢の機能不全は54・7%に見られた。問診は58名に実施できた。73.1%で入所時に主治医からX線情報の提供があったが,この割合は施設で大きく異なった。提供されたX線情報では,陳旧性陰影は12 .3%であったが.結核検診では20.8%であった。結核既往歴は問診実施群で多かった(24.1%vs.6.5%;p<O .OO1)。3年連続で結核検診を実施した施設の要精検率は2.8%であったが,初めての施設では13.0%(p=O.008)だった。なお,前者では35.8%で比較読影が実施できた。〔結論〕高齢者施設においては発病者の早期発見早期治療が重要である。入所時に結核発病リスク要因を詳しく調査することは重要であるが,その情報の記録病棟への周知,日常の介護時の確認事項,医療機関受診時の情報提供等,リスクマネージメントの視点でシステム作りが求められる。

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© 日本結核病学会
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