結核
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路上生活者宿泊提供事業施設の入所者検診で発見された結核症例の検討
八木 毅典山岸 文雄佐々木 結花橋本 友博別宮 玲山中 満佳子露崎 淳一
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2006 年 81 巻 5 号 p. 371-374

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抄録

〔目的と方法〕最近,路上生活者に宿泊施設を提供して生活保護受給のもとに社会復帰をめざす,社会福祉事業としての非営利活動法人施設が増加している。千葉市保健所が2002年11月から2004年8月に検診を行った施設入所者1054人中.全体の1.6%にあたる17例が活動性肺結核と診断された。これらの症例を検討した。〔結果〕17例は全例男性で,年齢は44歳から70歳(平均54.9歳)であった。喀痰抗酸菌検査では,塗抹陽性が4例,塗抹陰性培養陽性が3例であった。入院治療が13例,外来治療が4例で,自己退院の2例を除く11例の入院日数は平均146.7日であり,治療終了まで入院を継続した症例が4例あった。転帰は,治癒が12例,脱落・中断が5例であった。〔結論〕路上生活者宿泊提供事業施設の検診では,非常に高率に結核患者が発見された。今後も保健所と医療機関の連携のもとで,このような施設の検診とその後の治療を積極的に行っていく必要がある。比較的長期ないし治療終了までの入院治療を行う傾向にあるにもかかわらず,自己退院や外来通院中断など治療脱落も多く,入院継続支援や保健所などと連携した退院後の通院・服薬支援などが必要であると思われた。

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