抄録
本論文では、人間中心アプローチを取り入れたデジタルアーカイブのデザインプロセスを詳細に記述し、その手法の有用性を示す。慶應義塾の芸術・文化を包括的に提供するデジタルアーカイブ「Keio Object Hub」は、オープンサイエンス基盤としても機能し、慶應義塾が有するオブジェクト、コレクション、展示・イベントや創作物を集約し、また、学内ネットワークでの交流も促進するべくデザインされた。モノ(Object)をはじめとする文化遺産(Cultural Heritage)をデジタル化・オープン化する手法はこれまでにも多く提案されているが、本文では、「Keio Object Hub」の開発・実装プロセス、及びその経験から得られた知見を共有することで、大学博物館が学術(Academic)と公共(Public)の垣根を超えた出会いと交流を支援・推進するための基本フレームワークを明らかにする。