土地改良施設の排水経費に対する都市側の適正な負担割合を導くため,計画降雨に対する関数近似化した流出ハイドログラフを利用し,都市化による流出のピーク流量増大やピーク発生の早期化を考慮して求められた地目別流出量を根拠に,負担割合を算定する方法を提案した.さらにその方法を水稲作が盛んな日本有数の穀倉地帯である西蒲原地区に適用した.その結果から,都市化による農地の宅地化が顕著な地域において,排水経費に対する都市側の適正な負担割合を算定する方法の手順を具体的に示した.加えて,負担割合の推定値として,単位面積当たりで農地分を1として都市側は2.10~3.43の範囲となり,例えば単純に中間値を指標的に示すと2.77との有用な試算値を案出した.また,提案した手法は農地の減少・都市化の進行といった土地利用変化があった場合に対しても利用できることも明らかにした.