顕微鏡
Online ISSN : 2434-2386
Print ISSN : 1349-0958
解説
一次繊毛を光学顕微鏡で観ると見えるもの
池上 浩司
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 54 巻 2 号 p. 85-90

詳細
抄録

繊毛は長さ1~10 μm,直径約200 nmの小さな細胞表面構造で,ゾウリムシなどの原生生物からヒトを含む脊椎動物まで進化的に非常によく保存されている.脊椎動物などの多細胞生物では一つの細胞に1本のみ生える一次繊毛が存在し,哺乳類では全身の多くの細胞で観察される.一次繊毛は数10 μmの大きさを持つ細胞の表面に1本しか存在しない光学限界ギリギリの太さの微細な構造であるため,その存在を知っている者が明確な意図を持って観察しないと見落としてしまうことも多い.また,一次繊毛はゾウリムシや気管の上皮に生えている多数の運動性繊毛に比べて不安定な構造であり,観察対象を注意して扱わないとアーチファクトとして偽陰性(繊毛の消失)や偽陽性(繊毛の異常な形態)を捉えてしまう可能性も高い.本解説では,そんな“fragile”な一次繊毛を光学顕微鏡で観察する難しさと観察のコツを交えながら,光学顕微鏡で見える一次繊毛の姿や動きを紹介する.

著者関連情報
© 2019 公益社団法人 日本顕微鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top