日本健康学会誌
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原著
Relationship between health status and religion in areas with high proportions of Christians in Sotome District, Nagasaki, Japan
Rieko NAKAO, Kazuichi SUGIYAMA, Akiko NITTA, Mayumi OHNISHI
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2021 年 87 巻 6 号 p. 255-264

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抄録

【目的】長崎県外海地区における住民の精神的健康および主観的健康感と地域の宗教的背景および個人の宗教を含めた社会人口学的要因との関連について評価する.

【方法】住民にキリスト教徒の割合が高い黒崎地域(キリスト教地域)とキリスト教徒の割合が長崎県の値と同レベルの神浦地域(非キリスト教地域)とを比較した.住民に自治会を通じて無記名自記式質問紙調査を実施した.調査項目は,回答者の基本属性と宗教,現病歴,精神的健康,主観的健康感であった.同時に,両地域において宗教的な活動を含む地域活動について自治会長から意見を聞いた.

【結果】総数424人から質問紙調査の回答が得られ,性別や年齢,宗教が未回答であった137人を削除した287人を分析対象とした.自身がキリスト教徒であると回答した割合はキリスト教地域では86名(47.3%)であり,非キリスト教地域では3名(2.9%)であった.単変量分析では,キリスト教地域のキリスト教徒が非キリスト教徒よりも将来への不安を感じていた(カイ二乗検定,p=0.001).ロジスティック回帰分析の結果では,地域の宗教的背景や個人の宗教との関連は見られず,主観的な経済ゆとり満足感の低さが将来への不安(調整オッズ比(AOR):3.74, 95%信頼区間(Cl):2.01-6.94),無力感(AOR:3.97, 95%CI:2.20-7.17),うつ傾向(AOR:2.67, 95%CI:1.50-4.76)と関連していた.主観的健康感の低さには,独居であること(AOR:2.28, 95%CI:1.09-4.76),現病があること(AOR:9.10, 95%CI:3.59-23.08)が関連していた.自治会長のインタビューからキリスト教徒のほうが宗教的な活動を含む地域での活動が活発であることが推察された.

【結論】長崎県外海地区の地域の宗教的背景が異なる2つの地域の住民の精神的健康には宗教的な要因ではなく,主観的な経済ゆとり満足感の低さとの関連が示された.主観的健康感には,独居と現病といった個人的な要因が関連していた.

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